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"産業のコメ"が足りない!背景と課題

櫻井 玲子  解説委員

クルマを作るのに欠かせない半導体が不足し、日本をはじめ、各国の自動車メーカーが生産を減らすといった影響が出ています。
その背景と課題について櫻井解説委員です。

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Q 「半導体が足りなくて車が作れない」。なぜこんなことになったんでしょう?

A はい。直接のきっかけは、新型コロナウィルスによる影響です。

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半導体は車だけでなく、スマートフォンやパソコンなどあらゆる家電製品に使われ、「産業のコメ」とも呼ばれますが、巣籠もり需要の影響でIT製品が飛ぶように売れ、半導体も世界的な奪い合いになっているんです。
一方、車の部品メーカーは、コロナ禍では車があまり売れないとみて、半導体の注文を減らしていました。ところが公共交通機関を敬遠して車を買う人が増えたことなどから、販売が急回復。追加で注文しても半導体が手に入らず、部品も、車そのものも、作れなくなってしまったんです。
さらには、各国の外交や環境政策も、半導体の奪い合いに拍車をかけている面があります。

Q どういうことですか?

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A 一つは米中対立による影響です。アメリカ政府が中国の半導体大手を規制する動きにあわせ、各社は在庫のための注文を増やしていました。また、ヨーロッパではグリーンエコノミー政策が推進され、省エネのための半導体の需要も伸びているんです。

Q この影響、今後、どこまで広がるんですか?

A 一部の半導体メーカーは夏までに生産を増やす意向があるようです。ただ、半導体の需要が伸び続ける中、専門家は影響が長びく可能性を指摘しています。

Q となると、どう対応していけばよいのでしょうか?

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A 足元では、半導体メーカーへの働きかけ、調達や在庫計画の見直しが必要となるでしょう。そして大事なのは、より長期的な戦略をどう考えるかです。デジタル化・脱炭素化という時代の流れで自動運転や省エネの技術がすすみ、必要となる半導体の数も増えそうです。
日本は、生命線である半導体の調達を海外に大きく依存しています。アメリカでは、アップルのように業種の垣根をこえ、自らも半導体の開発に乗り出した企業もあります。日本は、どうするのか、その戦略が問われています。

(櫻井 玲子 解説委員)

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