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「どうなる?うし年の世界経済」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、ことしの世界経済の先行きはどうなるのでしょうか。櫻井解説委員にききます。

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Q1 去年は非常に厳しい一年でした。ことしは、少しは、よくなるのでしょうか?
A1 残念ながら、手放しで楽観できる状況には、ありません。
ことしの干支のウシにちなんで3つ、キーワードを選んでみました。
一つ目は「牛歩」、牛の歩みのごとくゆっくりとした景気回復です
去年は戦後最悪のマイナス成長となり、ことしはそのどん底からの復活を目指したいところです。が、感染症が収まったとしても、各国で失われた雇用がすべて戻ってくるわけではありません。
日本を含む先進国は、去年が6パーセント近いマイナス成長となったのに対し、
ことしは4パーセントに満たないプラス成長にとどまる、とみられています。

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Q2 コロナ以前の水準には、簡単には、戻らないんですね。
A2 はい。そして気になるのは、「ブル相場」と呼ばれる株式市場の行方です。
ブルとは「おうし」のことで、角を下から付き上げる姿から、株価が上がっている局面を指します。
足取りが重い景気回復とは裏腹に、NYダウは年末に史上最高値を更新。
日経平均株価も感染症拡大前の水準より15パーセントも上がっています。
日本・アメリカ・ヨーロッパは今、政策金利をゼロまたはマイナスにまで下げる景気刺激策を行っていますが、銀行に預けても利子がほとんどつかないおカネが行き場を失い、株式市場に流れ込んでいます。
この先、実態以上にバブルが膨らみ、崩壊しないかが、心配です。

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Q3 三つ目のキーワードはなんでしょう?
A3 希望も込めて「帰馬放牛」という言葉を選びました。争いをやめて、牛や馬を野に放ち、平和な世界に戻る、という意味です。
コロナとの闘いは続きますが、こういう時だからこそ、各国が力をあわせることが求められています。
景気対策で各国の借金は膨らむ一方で、コロナに苦しむ国への支援も必要です。
アメリカでは国際協調の重視を打ち出すバイデン政権がまもなく誕生し、期待も高まっています。
ことしこそ、国際社会が一丸となって、山積みの課題を克服してほしいと思います。

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(櫻井 玲子 解説委員)

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