新型コロナウイルスの感染拡大が続くヨーロッパ各国は、例年大勢の人が集まるクリスマス期間中の感染防止策をめぐって対応に苦慮しています。
Q.サンタクロースもマスクですね。
WHO・世界保健機関の担当者は14日、記者会見で「サンタクロースは免疫を持っているため世界を飛び回り、子どもたちにプレゼントを届けることができる」と答えました。ユーモアのあるコメントですが、その後イギリスで感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスの感染が広がり、ロンドンでは警戒レベルが最高度に引き上げられて外出制限などより厳しい措置がとられました。これを受けて各国はイギリスとの往来を禁止し混乱が生じていますが、変異したウイルスはイタリアやオランダなどでも確認され警戒が強まっています。
Q.クリスマスに各国はどう対処するのでしょうか。
イギリスのジョンソン首相は「クリスマスを禁じるのは非人道的だ」としてクリスマスをはさんだ23日から27日の間だけは特例として3世帯までの集まりを認めていましたが、感染拡大によりロンドンの緩和措置は取りやめとなりました。イタリアもクリスマスと年末年始の外出を原則禁止しました。一方で、ドイツは商店や学校が閉鎖されるなど厳しい措置をとっているもののクリスマス期間中だけは親族を4人まで自宅に招くことを認め、フランスもクリスマスイブの夜間外出を認めるなど国によって対応が異なっています。
Q.どこも穏やかなクリスマスを迎えることはできそうにありませんね。
WHOはクリスマスの規制緩和は年明けに高い代償を払うことになると警告し、家族と会う際にもマスクをするよう呼びかけています。ただ、厳しい規制には不満も強く国民の理解を得るのは容易でありません。ふだんは沈着冷静なドイツのメルケル首相は先日、珍しく感情をあらわにして、国民に不便を強いることに「ごめんなさい。心の底から申し訳なく思います」と胸の前に両手を合わせて国民に訴え、共感を呼びました。
国民が危機感を共有し、感染防止に国をあげて取り組むことができるか、試練のクリスマスになりそうです。27日からはEU各国でワクチンの接種が始まります。待ち望んでいた「贈り物」となるのでしょうか。
(二村 伸 解説委員)
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