与党の過半数確保なるか ミャンマー総選挙
2020年11月09日 (月)
藤下 超 解説委員
ミャンマーで、きのう総選挙の投票がおこなわれました。アウン・サン・スー・チー国家顧問の与党が、議席の過半数を維持できるのかが焦点です。
Q.はかりの左側にスー・チー氏。反対側は軍人ですね。
A.ミャンマーのいまの政治は、政権トップのスー・チー氏と、軍という2つの権力のバランスの上に成り立っているんです。
スー・チー氏の政党NLD=国民民主連盟は、前回5年前の総選挙で圧勝し、政権を握りましたが、それまで半世紀にわたってミャンマーを支配していたのは軍です。
今も国防と治安の実権を握り、議会の4分の1が軍人枠になっているなど、政治的にも強い力を持っています。
スー・チー氏は、国民からの支持を背景に、軍人議員の削減など、いっそうの民主化を進めようとしましたが、軍の反対にあい、頓挫しています。
今回の選挙では、この両者のバランスがどうなるのかが、注目されていると言ってもいいと思います。
Q.NLDが過半数を維持できるかどうかが焦点ということですね。
A.スー・チー氏は、国際的にはロヒンギャ問題で批判されていますが、国内では、とくに多数派のビルマ人の間で高い人気を保ち、NLDが第一党を確保するのは確実視されています。
しかし、圧勝した前回ほどの勢いはないとする見方もあり、仮に大きく議席を減らせば、権力のバランスが軍の方に傾き、民主化が停滞する可能性もあります。
逆に、前回同様、単独で政権をとれる過半数を確保すれば、軍に対しても強い立場を保てると見られているんです。
Q.過半数は確保できるでしょうか。
A.人口の3割を占める少数民族の支持をつなぎ止められるのかが、カギになりそうです。
少数民族の間では、政府と少数民族武装組織との和平が進まないことなどから、政権への失望が広がっているとされ、予断を許しません。
民主化の途上にあるミャンマーの今後に大きな影響を与える選挙だけに、開票結果に注目したいと思います。
(藤下 超 解説委員)
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