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『お家芸』の柔道 ようやく大会が再開へ

小澤 正修  解説委員

柔道の体重別の全国大会、講道館杯が10月31日に始まります。新型コロナウイルスの影響を受け、ようやく再開される柔道の大会について、小澤正修解説委員です。

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Q1
スポーツ界全体では動き出している印象でしたが、柔道はまだだった?
A1
柔道は、相手と組みあわなければ競技が成り立たないという特性上、練習ですら、思うようにできず、多くの選手が本格的に乱取りなどを始めることができたのは8月以降でした。全国規模の大会は、講道館杯がことし初めてとなります。

Q2
では、感染防止にかなり気を配る大会となるのですか?
A2
格闘技でも空手では、気合の際に出る飛沫の飛散を防ぐために特殊なシールドをつけて12月に全日本選手権を行う予定ですが、投げ技や寝技がある柔道では、けがの危険があるため、そうした器具は使えません。つまり競技の中で対策をとるのは非常に難しく、感染防止は大会をどう運営するかにかかっています。

Q3
具体的にはどんな対策がとられるのでしょう?
A3
例年、講道館杯にはおよそ460人もの選手が出場し、体育館のフロアに複数の試合会場が設けられて、同時進行で試合が進められます。今回は密になるのを防ぐため、出場選手はほぼ半分に減らし230人あまりとなりました。また選手には試合前日に唾液を採取し「スマートアンプ法」と呼ばれる方法での検査を義務付けたほか、2時間おきに畳を消毒したり、選手用に消毒液を含ませた足ふきマットを設置したりするなど、感染リスクを最大限下げる対策がとられます。

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Q4
どう開催できるか、来年のオリンピックにも影響があるでしょうか?
A4
柔道は同じ格闘技のレスリングとともにオリンピックで日本選手が数々のメダルを獲得して盛り上げてきた、いわば「お家芸」。特に日本では大会を象徴する競技と言えます。実は12月に東京で予定されていた国際大会について国際柔道連盟は「開催で感染が広がれば、オリンピックに影響を与えかねない」と、実施を断念しました。それだけに、東京オリンピックに向けて講道館杯では、なにより“開催できた”という実績が大切になるのではないかと思います。

(小澤 正修 解説委員)


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