北朝鮮は先日(10日)行った軍事パレードでICBM=大陸間弾道ミサイル級とみられる新型のミサイルを登場させました。北朝鮮のミサイル開発はどこまで進んでいるのか出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、こちらが今回、新たに登場したミサイルですね。
A1、はい。今回の軍事パレードにはすでに知られているものも含め様々な弾道ミサイルが登場しました。その最後に現れたのが、こちらの超大型の新型ミサイルです。
注目して欲しいのは、ミサイルを積んでいる大型車両の車輪の数です。
Q2、車輪の数ですか?
A2、この車両は発射台も兼ねています。車で移動してミサイルを立て発射するのです。
今回登場した車両は、ご覧のように片側に11個ずつ合わせて22個の車輪がついています。北朝鮮は3年前に初めてICBMの発射に成功していますが、この時の車両は片側9個ずつ18個でした。今回は4つ増えていて、それだけミサイルが大型になっていることがわかります。こんなにたくさんの車輪を備えた車両が登場したのも今回が初めてです。
問題は、この車両をどうやって調達したかです。北朝鮮は9年前、中国から木材運搬用という名目で6台の大型車両を購入していたことが国連の専門家パネルの調査で明らかになっています。ミサイルを載せる車両はこれを改良したものと見られていました。ところが今回北朝鮮は「100%国産、自分達でつくった」としています。こうした車両も含めミサイルに関連する様々な技術を独自に開発していることがうかがえます。
Q3、それだけ北朝鮮の脅威が増しているということですね。
A3、その通りです。厳しい経済制裁にも関わらず、北朝鮮がこうした技術開発を進めていることは深刻に受け止めねばなりません。今回新たに登場したミサイルはまだ発射されたことはなくその性能は未知数ですが、来年1月には北朝鮮にとってもっとも重要な党大会が予定されています。
来月のアメリカの大統領選挙の結果も見極めたうえで、新型のICBMの発射に踏み切るかも知れません。十分な警戒が必要です。
(出石 直 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら