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新型コロナ 入院勧告の対象絞り込みへ

米原 達生  解説委員

新型コロナウイルスの感染者に対する入院勧告の対象が10月24日から変わることが決まりました。担当は米原解説委員です。

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病院が軽症と無症状の人にお別れしていますね?

はい。新型コロナの感染者に対しては感染症法という法律に基づいて、行政が入院を勧告することができます。その運用を変えて原則として重症化リスクの高い人、具体的には高齢者や、持病がある人などに対象を絞ることになりました。軽症や無症状の人はホテルや自宅での療養になります。これまでもこうした療養は行われてきましたが、運用が変わると、そうした人が一気に増えるとみられます。


なぜ今、運用見直し?

これまでの診療で疲弊している医療機関の負担を減らすためです。冬に向けてはインフルエンザと同時流行する恐れもありますから、それを見据えた対応なんです。

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ただ、誤解してはいけないのは、入院勧告の対象から外れる軽症・無症状の人についても、感染防止の対策を緩めるというわけではないということです。
決められた期間は外出しないことが求められますし、必要に応じて就業制限もかかります。

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こうした人たちの対応は、誰がどのように行う?

基本的には行政になるので、保健所が中心・窓口となって対応することになります。療養生活の説明や相談、外出できない代わりに食事を届けるなどの生活支援、そして健康状態=病状の把握や、症状が悪化したときの入院調整などをしています。こうしたきめ細かい対応を、今後はより数を増やして行うことが求められることになります。

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しかし、春には自宅で待っている間に症状が悪化して亡くなった方もいた。

症状が悪化した場合にきちんと医療につなげるというのは、この見直しの大前提だと思いますので、症状が重くなったときの入院の必要性の見極め、そして、その調整がスムーズにできることが大事です。ただ、保健所は幅広い業務を担って逼迫していますから、役割分担できるところは分担して、効率化できるところは見直して、その体制をきちんと作ってほしいと思います。

(米原 達生 解説委員)


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