将棋の羽生善治九段が、9日から八大タイトルの1つ、「竜王戦」の七番勝負に臨み、勝てば前人未到の「タイトル通算100期」を達成します。名越章浩 解説委員が解説します。
【通算100期とは】
将棋界には、現在、「竜王」「名人」「叡王」「王位」「王座」「棋王」「王将」「棋聖」の、あわせて8つの大きなタイトルがあります。
そのタイトルをめぐる挑戦は毎年あり、1つでもタイトルを獲得すると、1期と数えます。
つまり、通算100期は、100回頂点に立つという意味です。大変な挑戦が9日から始まるのです。
その100期目がかかった戦いが竜王戦だという点に注目です。
【羽生さんにとっての竜王戦】
竜王は、名人と並んで将棋界トップのタイトルで、しかも羽生九段にとっては特別なタイトルだからです。
というのも、現在50歳の羽生九段が、プロになって初めてタイトルを獲得したのが、この竜王だったのです。
史上最年少記録・19歳での獲得で、この竜王の記録は30年以上たった今も破られていません。
しかも、竜王の最年長記録も羽生九段です。3年前、47歳のときでした。
さらにこのとき同時に、すべてのタイトルを一定数獲得した棋士の証である「永世七冠」を史上初めて達成し、国民栄誉賞も授与されました。
ただ、その翌年、タイトルを防衛できず、27年ぶりの無冠となってしまいました。
竜王戦は、羽生九段にとって様々な思い出が詰まったタイトルなのです。
【豊島竜王との対局】
対局の相手は、20歳年下の豊島将之竜王。ことし叡王のタイトルも獲得し、まさに勢いに乗っています。
去年は竜王と名人のタイトルを同時に保持する、史上4人目の「竜王名人」になったトップ棋士です。
その豊島竜王がプロになって初めてタイトルを獲得したときの相手が、羽生さんでした。
運命的な対局ともいえる9日からの七番勝負を制するのはどちらなのか、注目です。
(名越 章浩 解説委員)
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