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「新たな最低賃金 どうする格差解消!」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

今年度の新しい最低賃金が、各都道府県ごとに1日から順次、始まっています。
竹田 忠(たけだ・ただし)解説委員に聞きます。

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Q①最低賃金というのは、都道府県ごとに別々に決定されてるんですか?

そうなんです。毎年、国の審議会が、今年はいくら引き上げるかという
目安をまず示して、それをもとに、各都道府県ごとの審議会が、具体的に
いくら上げるかを決めるという二段階方式で決まるんです。
最低賃金は、文字通り、雇用主が、最低限、払わないといけない賃金で、
働く人を守る重要な仕組みです。
重要なのは、これが去年よりどれだけ上がったか、ということなんです。

というのも、最低賃金はここ数年、
政治主導によって前年より3%ずつ上がっていて
去年は額にして27円、前年より上がりました。
それが、今年どうなったかというと、
ドンとグラフが落ちて、わずか1円のアップ。急ブレーキがかかった。

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Q②それは、やはり、このコロナの暗雲のせいですか?

そうなんです。このコロナ危機で何が起きたかというと、
たとえば、最低賃金で今年、最も高いのは東京の1013円。
その後、900円台、800円台と続いて、
最も低いのは秋田や沖縄など7つの県の792円、という順番ですが、
このトップの東京をはじめ7つの都道府県では、
最低賃金が、去年と全く同じ。つまり凍結、据え置きになってしまっている。

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Q③こういう状況ですから、企業も経営が厳しいとは思いますが、
  これは働く人にとって、大変なことですね?

そうなんです。そもそもこの最も高い東京の最低賃金でも
これでフルタイムで働いて、年収は200万円程度です。
さらに、地域間格差も深刻で、
この東京と、最も低い県との間には、時給で221円もの開きがある。
これでは働く人が、より時給の高い地方へと移ってしまうおそれがある。

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Q④するとどうすればいいんでしょう?

注目は、菅総理大臣は、以前から
最低賃金をもっと引き上げるべきだと主張していて
すでに田村厚生労働大臣に、平均1000円を
より早期に目指すよう、指示も出しています。

今後、焦点になるのが、
企業が最低賃金を上げられる環境をどう作りだすか?
特に経営基盤の弱い中小企業の、経営や存続、再編という問題に対して、
政府が、今後どう関わるのか、支援するのか?
これまでとは違う、大きな議論が必要になってくると思います。

(竹田 忠 解説委員)

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