徴兵制のある韓国では、人気アイドルグループのメンバーの兵役免除を認めるかどうかをめぐって議論が起きてます。出石 直（いでいし・ただし）解説委員です。
Ｑ１、人気アイドルグループというのはＢＴＳ＝防弾少年団のことだそうですね。
Ａ１、はい。ＢＴＳの最年長のメンバーが軍隊に入隊するのかどうかに関心が集まっています。韓国の成人男性は兵役につく義務があり、満２０歳から２８歳までの間に入隊しなければなりません。このメンバーはことし１２月に２８歳になるのですが、ファンの間からは「兵役を免除して欲しい」「入隊を延ばして欲しい」といった声が寄せられているのです。
Ｑ２、そんなことはできるのですか？
Ａ２、オリンピックで活躍したスポーツ選手や国際的なコンクールで入賞したクラシック音楽の演奏家などには兵役免除の特権があります。しかしＢＴＳのような大衆芸能については「大会で何位以内」といった明確な基準を示せないこともあって、免除の対象にはなっていません。大衆芸能も免除の対象にしようという法案も国会に提出されていますが、人気アイドルグループのメンバーだからといって特別扱いすることには政府内にも慎重な意見が出ています。
Ｑ３、確かにスポーツなどと違って線引きが難しいですね。
Ａ３、芸能人の入隊は毎回メディアで大きく報道されますが、その一方で、兵役逃れや特別扱いには厳しい批判が寄せられます。
最近もムン・ジェイン政権で法相を務めるチュ・ミエ氏が、息子の兵役中の休暇の延長をめぐって便宜を図るよう部隊に働きかけをしていたのではないかという疑惑が取り沙汰されていました。検察はきのう（28日）、圧力などはなかったとして法相らを不起訴処分にし、この疑惑はひとまず決着しましたが、法相の政治責任をめぐって国論を二分する議論が巻き起こったのです。
韓国は軍事境界線をはさんで北朝鮮と対峙しています。およそ２年間の兵役は本人にも家族にも大きな負担です。兵役をめぐる「特別扱い」をどこまで認めるのかは、韓国の人達にとっては切実な問題なのです。
（出石 直 解説委員）
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