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「南太平洋 強まる中国進出に警戒も」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

南太平洋では中国と外交関係を結ぶ国が増えていますが、中国の影響力が強まることに警戒感も強く、中国寄りの政府から独立を求める動きも見られます。

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Q.島を釣り上げていますね?

莫大な資金を背景に狙いを定めた国を次々と陣営に引き入れています。ちょうど1年前、南太平洋のソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と国交を断絶し、中国と外交関係を結びました。ソロモン諸島は1000以上の島とサンゴ礁からなる国で、第二次世界大戦中は日本軍が占領し、アメリカ軍との激戦の地になったことでも知られますが、中国は国交樹立から1年たった今月、大使館を開設しました。ところが今、そのソロモン諸島からの独立を求める動きが出ているのです。

Q.なぜ独立ですか?

最も人口が多い東部の州が今月、中国との関係を嫌って独立の賛否を問う住民投票を行うと発表しました。この州はアメリカとの関係が深く、中国との国交樹立に強く反対してきました。ソロモン諸島は、アメリカとオーストラリアを結ぶ海上輸送路に位置する戦略的にも極めて重要な場所で、中国が軍事的な拠点を設けようとしているとアメリカは神経をとがらせています。

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Q.独立の実現性は?

政府は住民投票を違法だとしており、独立が認められる可能性は低そうですが、住民の不満は今後もくすぶり続けるでしょう。さらに同じ頃中国と国交を結んだキリバスでも先月行われた大統領選挙で、中国との関係維持か、台湾との関係復活かが争点となりました。中国が影響力を強めれば強めるほど警戒する声が各国で強まっています。

Q.なぜ中国を警戒するのですか?

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政府の建物や空港、港などインフラ支援の引き換えに多額の借金を抱え、いわゆる「債務の罠」に陥る国が相次いでいるからです。経済的に飲み込まれてしまった国も少なくありません。南太平洋の14か国中、台湾との関係を維持しているのは4か国だけとなりましたが、それらの国への中国の圧力も強まっています。米中の覇権争いが激しさを増す中、日本とも歴史的な関係のある南太平洋の小さな国々は生き残りをかけた選択を迫られています。

(二村 伸 解説委員)

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