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「王制改革求める声も タイ反政府デモ」(ここに注目!)

藤下 超  解説委員

日本ともつながりの深いタイで、若者たちによる反政府デモが続いています。

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Q1)イラストの人たち、皆怒っていますね。

A1)
大学生など若者たちを中心に政治の民主化を求める声が高まっているんです。
3本の指を立てて手を挙げているのは、抵抗の意思を示すポーズです。
ターゲットは、プラユット首相。
軍出身で、6年前のクーデターで政権を握り、去年の総選挙で民政に復帰したあとも首相を続けています。

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若者たちは、▼議会上院が、任命制になっているなど非民主的な憲法のもとで首相が選ばれ、民意を反映していない、▼軍の力を背景に、野党などに強権的な姿勢をとっている、と訴え、憲法の改正と総選挙の実施を求めています。
あさって(19日)には数万人規模の集会を開くとしています。
そして、もうひとつ、若者たちが求めているのが、これまで議論することすらタブー視されてきた王制の改革です。

Q2)王制の改革、どういうことなんでしょう。

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A2)一言でいえば「国王の権限の縮小」です。
タイの国王は憲法で不可侵の存在とされ、侮辱した場合は不敬罪に問われます。
さらに、今のワチラロンコン国王が4年前に即位して以降、王室の財産を管理する機関や陸軍の精鋭部隊が国王の直轄になり、権限の強化が進みました。
王制改革をもとめる若者たちは、真の民主化のためには、不敬罪の廃止や王室財産の透明化などが必要だと訴え、特に学生の間で支持を広げているのです。

Q3)若者たちの訴えにタイ政府はどう対応しているのですか。

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A3)政府は、当初、比較的寛容な姿勢を見せていましたが、一部の若者たちが、公然と王制改革に言及するようになると、騒乱を扇動した疑いで逮捕するなど、厳しい対応をとりはじめています。
対立がさらに深まれば、混乱につながるおそれもあり、日本企業も多く進出するタイだけに、目が離せない情勢になっています。

(藤下 超 解説委員)

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