今日(10日)から全米オープン・車いすテニスの部が開幕しますが、新型コロナウイルスの感染対策はどうなっているのでしょうか?竹内哲哉解説委員に聞きます。
Q.会場の門が閉まっていて選手が入れないですね?
A.はい。当初、主催者は車いすの選手のなかには感染すると重症化する可能性のある選手がいるため感染リスクを考えて、車いすの部は実施しないと発表しました。
しかし、オーストラリアなどの選手が「差別だ」と強く反発。国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長も「新型コロナを口実に、車いすの選手たちを締め出すべきではない」と異例の声明を出し、再考が求められた結果、開催となりました。
Q.どのような形の開催になったんですか?
A.無観客、そして出場人数が制限されました。シングルスのみ20人。日本からは国枝選手、上地選手、そして初出場の大谷選手の3人が出場します。ただ、感染への不安を抱えている選手もいましたから、主催者側の代表が大会前に複数回、選手たちとオンライン・ミーティングを行い、具体的な対策を示すことで不安の払しょくに努めました。
Q.具体的な対策、どのようなものでしょうか?
A.ひとつはPCR検査の徹底です。指定のホテルに到着したらまず検査。結果が出るまで部屋から出ることは認められません。陰性でも48時間以内に2度目の検査。その後も、原則4日ごとに検査が続けられます。これは選手の周りのスタッフにも同様に求められます。ほかにも「指定エリア、つまりホテルや会場の外に許可なく出ると失格」になります。また、車いすの選手には国際大会の出場規約に「車いすの消毒」もあり順守が求められています。
Q.コロナ禍では求められるものが色々あるんですね?
A.この大会はコロナ禍で日本人パラアスリートが初めて経験する国際大会です。感染対策はもちろん、制限があるなかでのプレイは、どのくらい影響を受けるのか。選手たちの知見は来年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて参考になるはずです。今月4日から東京大会に向けた新型コロナウイルス感染症の対策会議が始まっていますが、選手たちの貴重な声を聞いて、安全かつ最高のパフォーマンスができる環境を整えて欲しいと思います。
(竹内 哲哉 解説委員)
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