NHK 解説委員室

これまでの解説記事

東京医科大 受験料返金に障害

今井 純子  解説委員

東京医科大学の不正入試で、不合格になった女性や浪人の受験生に、受験料を返す手続きが始まっていますが、その前に障害が立ちはだかっています。今井純子解説委員。

C200904_0.jpg

Q)おカネを返すと、受験生に呼び掛けているのですね。
A)はい。この手続き。消費者団体の消費者機構日本が、受験生に代わって起こした裁判に基づくものです。今年3月、東京医科大学に対して、2017年と18年に不合格となった女性や浪人などの受験生に、受験料を返す義務があるという判決が出て、確定していたのです。対象者は、消費者機構日本に届け出をすれば、受験料を返してもらえるのですが、その期限が迫っている中、届け出をした人は、のべおよそ5200人の対象者のうち230人にとどまっているのです。

C200904_2.jpg

Q)なぜですか?
A)呼びかけが伝わっていないからです。この制度。対象者への周知は、消費者団体の役割になっています。大学側は、そのため、対象者の名簿を渡すことになっているのですが、個人情報保護の考えから、一次試験で不合格だった人の連絡先は、試験の後すぐに廃棄してしまった。それが障害になって個別に連絡できないのです。
一方、同じように不正入試が明らかになった昭和大学の医学部。東京医科大学の裁判の結果を受け、自主的に受験料を返すことを決めましたが、こちらは、受験生の連絡先を保管していました。およそ8800人に個別に連絡をとり、すでに5200人あまりに返還したとしています。
この対応の差。制度に沿ってはいるのですが、東京医科大の受験生は、割り切れない思いかもしれません。

C200904_5.jpg

Q)どうにかならないのですか?
A)消費者機構日本は、先週、期限を来月10日に延ばして、医学部のある大学の生協にポスターやチラシを置いてもらうなど、周知を強化する方向で検討しています。どこまで、受験生の耳に届くのか、注目です。
そのうえで、新聞の広告といった被害者への周知を裁判で負けた側(今回は大学)に求めるよう制度を改正することも、今後、考えていく必要があるのではないかと思います。

(今井 純子 解説委員)

関連記事