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「ロシア また『毒殺』未遂? 真相は」(ここに注目!)

安間 英夫  解説委員

ロシアで、プーチン大統領にとって1番の“政敵”と考えられてきた反体制派の野党指導者が体調の異変を訴え、ドイツの病院で治療を受けています。
毒物が使われた可能性が指摘されるこの事件について、安間解説委員に聞きます。

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Q1)プーチン大統領の1番の“政敵”というのは、どのような人なのでしょうか?

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A1)アレクセイ・ナワリヌイ氏という弁護士出身の野党指導者です。
プーチン政権や国営企業の汚職の疑いについて「泥棒だ」とインターネットで追及したり、反政権デモを率いたりして、支持を集めてきました。
先月(8月)20日、地方選挙の活動のため、飛行機で移動していたところ体調の異変を訴え、国内の病院に運ばれましたが、意識不明の重体となりました。

Q2)毒物が使われたのでしょうか?

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A2)側近によりますと、この日ナワリヌイ氏が口にしたのは空港でのお茶だけ。
毒を盛られたとして国外での治療を求め、受け入れを表明したドイツの病院に運ばれました。
病院は、検査の結果、体内の酵素の働きを妨げる種類の毒物が使われた可能性があると発表しました。
ドイツのメルケル首相をはじめ、EU、イギリス、アメリカも、ロシアに対し、透明性のある徹底した調査を行い、事件を解明するよう求めています。

Q3)ロシアにまつわるこうした事件、相次いでいるように思うのですが。

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A3)ナワリヌイ氏自身、去年警察に拘束された際も、体調の異変を訴えています。
このほか過去には、イギリスでロシアの反体制の元情報機関職員らが毒物中毒で死亡、あるいは重体になる事件がありましたが、プーチン政権は関与を否定してきました。
今回の事件についても、ロシアの捜査当局が調べていますが、毒物が使われた痕跡や犯罪を裏付ける証拠はないとしています。
ロシアでは、反体制派が命を狙われる事件があとを立たず、捜査も不十分で処罰もされないことが繰り返されてきました。
まずはなによりナワリヌイ氏の治療と回復。
そして“ロシアの闇”と言われても仕方がないこうした事件、プーチン政権はうやむやにせず真相を解明する責任があり、そのことを強く望みたいと思います。

(安間 英夫 解説委員)

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