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バーチャル党大会の効果は?

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ大統領選挙に向けた共和・民主両党の全国党大会は、新型コロナ感染を防ぐため、参加者をオンラインでつなぐ初めての“バーチャル党大会”となりました。髙橋解説委員とお伝えします。

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Q1)
けさのイラストは随分と低い跳び箱ですね?
A1)
先週の民主党大会で地元デラウェア州からリモートで演説したバイデン候補。聴衆が目の前にいないとやはり気になるのが、有権者の反応です。支持率の上昇幅を跳び箱に喩えたら“自分は何段跳べたのか?”ところが、大会後の世論調査でバイデン候補の支持率は今のところほとんど変わりません。通常なら候補者を押し上げたはずの、いわゆる“党大会効果”が限られているのです。

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Q2)
どうして“党大会効果”が限られている?
A2)
今回の党大会を伝えるテレビの視聴率は前回4年前より大きく落ち込んでいます。ただ、インターネットで視聴する人は増えていますから関心を呼ばなかったわけでもありません。近年のアメリカは、共和・民主両党の“党派による分断”が深まり、どちらを支持するか決めかねている有権者が、もともと少なくなっているからだという見方が有力です。
現に、1992年の民主党大会のあと、当時のビル・クリントン候補の支持率は16ポイントも跳ね上がったことがありましたが、前回2016年の選挙で、妻のヒラリー・クリントン候補は党大会のあと僅か2ポイント、当時の共和党トランプ候補も大会後3ポイントの上昇にとどまりました。

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Q3)
では、今回のトランプ大統領はどうなりそう?
A3)
トランプ大統領は、これから共和党大会の最終日(27日)、ホワイトハウスの屋外特設ステージで、ある程度の聴衆も招き、指名受諾演説を予定しています。民主党陣営は、ホワイトハウスを選挙に利用してこなかった戦後の歴代政権の慣例に反すると批判しています。
しかし、トランプ大統領は意に介さず、ここで一気に挽回し、再選に向けてとにかく高くこれぐらいは跳ぼうと言うのです。大統領は、“バーチャル党大会”で期待通りの効果を得られるか?それとも仮想の世界の錯覚に過ぎないか?党大会後の世論調査の動向に注目が集まります。

(髙橋 祐介 解説委員)


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