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新型コロナ拡大 お盆休みで国民の意識は

曽我 英弘  解説委員

8月のNHKの世論調査がまとまった。新型コロナウイルスの感染者数が全国的に増加する中、国民はこの夏をどのように過ごし、また政治に何を求めているのだろうか。

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Q)いつもと違う夏になったが、国民の意識はどうなっているか。

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A)「この夏、旅行や帰省をするか」聞いたところ、「旅行も帰省もしない」という人が75%を占め、「する、または、した」という人は8%のみだった。また「まだ決めていない」人が14%いるのも、旅行に行くか、ふるさとに帰るか、今も迷っていることをうかがわせる結果となった。
多くの人(87%)が「感染の不安を感じる」とともに、およそ4人に1人(24%)が「収入が減った」とも答えていて、今は旅行や帰省を楽しめないと感じる人が多いのではないか。

Q)政府は観光需要の喚起策「Go Toトラベル」を継続する方針だが。

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A)感染防止と経済の両立を重視しているためで、3割(31%)の人がこれを「続けるべき」と答えているのも厳しい景気の現状を表していると言える。
ただその一方で感染拡大への懸念から、「いったん中止すべき」と答えた人は6割(62%)に上っている。このことが政府の対応への厳しい評価にもつながっていて、今回内閣支持率は34%と、第2次安倍政権以降で最低の水準となった。

Q)先行きがなかなか見通せない中、政治に何が必要だと考えるか。

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A)不可欠なのは政治への信頼だろう。最低水準となった内閣支持率の背景には、感染の現状や今後の見通しの説明が十分でなく、国民の不安に応え切れていないと考える人が増えていることもあるのではないか。野党が求めている「臨時国会を速やかに開くべきだ」と答えた人が7割余りに(72%)に上ったこともこれをうかがわせる。
感染防止、景気の回復に向けた具体策の議論を深めることで、政治が今こそ役割を果たす時だと思う。

(曽我 英弘 解説委員)


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