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日英経済連携協定 合意なるか

二村 伸  解説委員

日本とイギリスの経済連携協定の交渉が大詰めを迎え、茂木外務大臣がイギリスを訪問し、6日から閣僚会議に臨みます。

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Q.合意は近いのでしょうか。

コロナ禍で閣僚として初めて海外に出向いての会談、何としても合意にこぎつけたいという意気込みがうかがえます。日本とイギリスの「経済パートナーシップ」、いわゆる経済連携協定の交渉をまとめるため、茂木外務大臣は6日からトラス国際貿易相と会談します。イギリスのEU離脱後の移行期間が年末に終了すれば、関税の優遇措置がなくなり、高い税率と輸入量の割り当てが復活します。日本にとって自動車などの輸出に影響が避けられないだけに来年1月1日以降の空白期間を避けるためには二国間の協定を年内に批准しなくてはなりません。国内手続きを考えると今月中の合意が必要なのです。

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Q.イギリスも合意に前向きなのですか?

イギリスもコロナ禍での経済の立て直しを迫られています。また、EU離脱により各国と独自に協定を結ぶことできると国民に離脱のメリットを強調してきましたが、貿易額の8割を協定でカバーするという目標には遠く及びません。とくに優先交渉相手と位置付けた4か国のうち日本以外は、アメリカとは交渉が難航、オーストラリア、ニュージーランドとは交渉が始まったばかりです。

Q.合意はまだ先のようですね。

はい。そこで先行する日本との交渉をまとめて他の交渉に弾みをつけたいところです。個別の協定を次々と結べば、進展が見られないEUとの通商関係に関する交渉も強気で臨むことができ有利に進められるという思惑もあるのではないでしょうか。さらにイギリスは日本との協定締結をTPP・環太平洋パートナーシップ協定加盟への足掛かりにしようとしています。

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Q.TPPはアジア太平洋地域の経済連携協定ですよね。

そうです。この地域の市場はイギリスにとっても魅力です。TPP加盟には地域的な制約はありません。それにTPP11か国中6か国はイギリス連邦のメンバーで、イギリスと深いかかわりがあります。EUのしがらみを断ち、経済的にも政治的にも再び存在感を高めようという狙いもあるでしょう。日英の交渉の行方を多くの国が関心を持って見守っています。

(二村 伸 解説委員)


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二村 伸  解説委員

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