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感染警戒下の都市選挙の課題

梶原 崇幹  解説委員

18日、東京都知事選挙が告示され、過去最多となる22人が立候補しました。今回は、新型コロナウイルス感染への警戒が続く中での選挙戦となりますが、大都市ならではの課題も見えてきました。
梶原解説委員です。

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Q)大都市の選挙とそれ以外の選挙の違いは?
A)東京都の有権者は1100万人を超えます。
東京のような大都市では、政党や団体などのコアな支持を固めただけでは勝つことはできません。
そこで、有権者のおよそ4割を占めるとも言われる無党派層に支持を広げられるかがポイントになります。
関係者からは、「『風』を起こせるかどうかが、勝敗のカギだ」という言葉が聞かれます。

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Q)その「風」を起こす戦い方に、感染への警戒が影響を与えるということですね。
A)これまでの都知事選挙では、主要な駅の前のロータリーで、候補者や支援する著名人が演説を行い、数千人にのぼる有権者が立錐の余地もないほど集まり、声援を送るという場面がみられました。こうした盛り上がりを、無党派層にいかに広げるかという戦いが繰り広げられてきましたが、今回は影響を受けそうです。

Q)選挙運動を制約する具体的な基準はあるのでしょうか。
A)そうした基準はなく、選挙管理委員会も、選挙への介入と受け取られかねないため、具体的な要請は行わない方針です。ただ、各陣営は国のイベントに関する基準などを参考にするとみられていて、それによれば、▼屋外の場合、人数は1000人以下で、人と人との間は十分な間隔をとること、▼屋内の場合、人数は1000人以下、かつ収容定員の半分以下などとなっています。

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Q)感染症への警戒という「新しい日常」のもとで、選挙の戦い方も変化を迫られますね。
A)各陣営は、SNSの活用などで知恵が試されます。
ただ、有権者を感染から守りながら、膨大な数の有権者に主張を届けられるかどうかは、候補者の力量そのものでもあります。
新型コロナウイルスや、東京オリンピック・パラリンピックへの対応などをめぐる論戦に加えて、新しい戦い方にも注目したいと思います。

(梶原 崇幹 解説委員)


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