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「世界最大のロックダウン 封鎖?緩和? 悩めるインド」(ここに注目!)

安間 英夫  解説委員

新型コロナウイルスをめぐって、日本とも関係が深いアジアの大国インドでは、2か月ちかくにわたって、ロックダウン=全国を封鎖する措置がとられています。
人口13億を対象にした世界最大と言われるこの措置、今、感染の拡大防止と経済の間で難しい舵取りを迫られています。

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Q)インドの封鎖措置は、どのようなものでしょうか?

A)3月下旬から外出制限、企業活動や公共交通機関の停止を実施し、違反者は当局が取り締まるという厳しい措置です。
ただ、景気が急速に冷え込み、毎年7%から8%前後だった成長率は、ことしマイナスに落ち込むという予測も出ています。
モディ政権は、GDP=国内総生産の1割にあたる、日本円で28兆円規模の経済対策や支援策を打ち出したほか、感染の少ない地域から段階的に外出や企業活動の制限を緩和し始めています。

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Q)感染拡大に影響は出ないのでしょうか。

A)そこが大きな課題です。
制限の緩和を始めた今月は感染者が増え続け、今、11万人を超え、中国を抜いてアジアで最も多くなっています。
インド国立の研究所は、ピークは6月から7月になるという見通しを示していて、このあとも感染の拡大防止と経済の間で難しい舵取りを迫られていきそうです。

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Q)厳しい封鎖措置でどのような影響が出ていますか。

A)しわよせを大きく受けているのが貧困層です。
地方から大都市に働きに出ていた1億人と言われる労働者の多くが仕事を失ったと言われています。
交通機関が止まったため出身地まで歩いて帰っていた少女が体調を崩して亡くなったり、線路を歩いていた人たちが貨物列車にはねられて亡くなったりする悲劇が相次ぎました。
大都市のスラム街は3密の状態が続いていますし、せっけんすら満足に行きわたっていません。

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インドをはじめ、貧困や格差の問題がより深刻な新興国、途上国の多くでは、これからさらに感染拡大が心配されています。
こうした状況にどう手を差し伸べることができるのか、先進国も含め、考えていかなければならない課題です。

(安間 英夫 解説委員)

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