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「新型コロナウイルス イタリア・イランでなぜ拡大?」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

新型コロナウイルスについてです。感染がイタリアやイランで急速に拡大していることについて、出川解説委員です。

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Q1:
イタリアでは、人の移動が制限され、商店の営業が禁止されるほど深刻ですが、これほど急激に感染が広がったのはなぜですか。

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A1:
イタリアで、最初に感染者が確認されたのは1月の末で、中国からの旅行者とされます。その後しばらく、感染者は発見されず、先月の下旬、イタリア北部で集団感染が確認され、以後、爆発的に拡大しました。当初は危機感に乏しく、病院内で感染が広がったと指摘されています。医療体制の不備に加えて、中国との経済的なつながりが強いこと、社会の高齢化が進んでいることも、背景にあると見られます。
感染は、移動が自由なEU・ヨーロッパ連合の加盟国に広がり、ドイツのメルケル首相は、「ワクチンもなく、人口の3分の2が感染する恐れもある」と強い危機感を表明しています。

Q2:
一方、中東のイランで感染が拡大したのはなぜですか。

A2:
イタリアとも共通点があります。イラン政府は、先月19日、最初の感染者と死者が出たと発表しました。中国から帰国したビジネスマンとされ、その後、猛烈な勢いで拡大しました。初動の対応に失敗したためで、イスラム教の集団礼拝も感染を拡げたと見られ、政府の要人も数多く感染しています。
ここでも、中国との密接なつながりが背景にあります。イラン政府は、アメリカの厳しい経済制裁の中、中国との人の往来を止めるのを躊躇して、感染を拡大させたという指摘も出ています。急増する患者に、医療体制は全く追いついていません。

Q3:
これらの事例から何が読みとれますか。

A3:
イタリアもイランも、瞬く間に手が付けられなくなり、周辺国にも感染を拡げてしまいました。もはや、国ごとに対策を立てたり、人の行き来を遮断したりするだけでは、世界的な感染拡大にブレーキはかけられません。

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WHO・世界保健機関を中心に、各国が正確な情報を共有し、検査キットや人工呼吸器、感染を防ぐための防護服を供給しあうなど、国際的な協力態勢を確立できるかが、この未曾有の危機を克服するカギとなります。

(出川 展恒 解説委員)

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