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「原爆症認定訴訟 最高裁の判断は」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

広島や長崎で被爆した人たちが、白内障などの病気になったとして、国に原爆症の認定を求めた3つの裁判で、最高裁判所が25日に判決を言い渡します。

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Q:3人の女性がお医者さんの診察を受けていますね。
A:原告は広島や長崎で被爆した70代から80代の女性3人です。いずれも白内障などの病気で、原爆症の認定を求めています。被爆者健康手帳を持っている人は、医療費や健康診断は無料ですが、原爆症と認定されると、医療特別手当が支給されます。
原爆症の認定には2つ条件があります。1つが▼原爆の放射線が原因であること、もう1つがこの▼「要医療性」です。
かつて裁判で多く争われたのは、1つめの条件である「病気の原因が放射線かどうか」というものでした。これについては最高裁がちょうど20年前、事実上救済の幅を広げる判断をしました。
今回は、2つ目の条件である「要医療性」が、最高裁の争点になっているわけです。

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Q:「要医療性」とは、具体的にはどういう状態のことでしょうか。
A:医療が必要な状態かどうか、ということです。原告の1人、広島市の内藤淑子さん(75歳)は生後11か月で被爆し、40代で放射線による白内障になりました。
当時は手術を受けるまではありませんでしたが、定期的に病院に行き目薬を処方される「経過観察」の状態でした。この経過観察の通院が、原爆症と認定される「要医療性」と言えるのかどうかで争われているんです。

Q:一般に、何か持病があって経過観察で通院する人はたくさんいますよね。
A:ただ、3人の裁判ではこの経過観察が「医療が必要な状態とは言えない」という判決と「これも必要な医療に含まれる」という判決に分かれていました。最高裁がこの点をどう判断するかがポイントです。

Q:判決は影響もあるのではないでしょうか。
A:支援団体によると、要医療性を理由に申請が認められない、あるいは一度認められてもその後更新されないケースが増えているということです。その中には経過観察の人もいるとみられますから、判決の影響は大きいと思います。
内藤さんは1月、最高裁の弁論で「私たち被爆者が生きているうちに、問題を解決してほしい」と訴えました。

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高齢化する被爆者の実情を踏まえて、最高裁がどう判断するのかが注目です。

(清永 聡 解説委員)

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