アメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者選びは今週末(22日)、第3戦となる西部ネバダ州の党員集会が開かれます。髙橋解説委員です。
Q1)
けさのイラストはサンダース上院議員が熱気球で上昇中?
A1)
ぴかぴかのカジノやホテルが軒を連ねるラスベガス。この西部ネバダ州で勝敗の鍵を握るのは、白人以外のヒスパニック系の動向です。初戦のアイオワや第2戦のニューハンプシャーで白人有権者が大半を占めたのに対し、ネバダ州では有権者のおよそ3割がヒスパニック系。その取り込みに早くから力を入れてきたサンダース上院議員が優勢に戦いを進めています。
Q2)
するとサンダース氏が一気に混戦から浮上する?
A2)
ネバダではトップに立つかも知れません。ただ、問題はそうした上昇気流がどこまで続くかです。若者から圧倒的支持を集めるサンダース氏は現在78歳と候補者の中で最高齢。去年秋にはラスベガスを遊説中に心臓発作で一時倒れたこともありました。そんな健康不安が拭えない本人に代わり、ヒスパニック系で人気の若手オカシオコルテス下院議員らが移民制度改革などを訴え、党内左派の票固めを進めてきたのです。
しかも波乱要因はまだあります。「左派のサンダース氏が民主党の大統領候補になったら、トランプ再選を助けかねない」そうした危機感を募らせる中道派から“新たなライバル”が急浮上してきたのです。
Q3)
“新たなライバル”って誰ですか?
A3)
大富豪のブルームバーグ前ニューヨーク市長です。来月3日の“スーパーチューズデー”から途中参戦してくるブルームバーグ氏は、今回のネバダ党員集会では選考の対象になりません。しかし、アメリカの公共放送による最新の世論調査では、全米の支持率がサンダース氏に次ぐ2位に浮上。これを受けて、ラスベガスで19日に開かれるテレビ討論会に初めて参加が認められることになりました。中道派と左派の対立で、ますます混沌としてきた民主党の候補者選びの現状は、再選をめざすトランプ大統領にとっては、“思うつぼ”の展開と言えるかも知れません。
(髙橋 祐介 説委員)
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