再稼働か廃炉かで揺れる福井県にある原電・日本原子力発電の敦賀原発2号機の審査で、前代未聞の事態が起きています。水野倫之解説委員の解説。
敦賀2号機の審査を巡っては原発の安全審査の信頼性の根幹に関わる問題が起きている。
以前規制委員会の有識者会合が建屋直下に活断層がある可能性を指摘。
新基準では直下に活断層がある原発の運転を認めていないためこのままでは、廃炉となる。
そこで原電は反論のためボーリング調査を行い、観察記録を提出。
それが書き換えられていた。
例えばおととしの審査資料で「未固結粘土」と書かれていた部分が、今月の資料で「固結粘土」と、何の説明もないまま、正反対に書き換えられていた。
書き換えは10数か所ある。
規制委は、観察記録のような生データが書き換えられれば審査の信頼性が失われかねないと原電の姿勢を問題視し、審査を中断。
科学論文でだまってデータを書き換えれば改ざんと認定される重大な問題、審査中断は当然の判断。
原電はもとの表現は肉眼での観察記録によるものだったがその後顕微鏡で観察した結果をもとに修正したもので、意図的ではなかったと説明。
ただ、原電は原発専業の会社で、所有する茨城県の東海第二とこの敦賀2号が再稼働できなければ会社が存続できない事態に追い込まれかねない。そこで何としても再稼働させようと、活断層ではないように見せようとしたのではないか、という疑いも出てくるわけ。
まずは原電が、誰がどういう判断で書き換えを行ったのか詳細な経緯を明らかにしなければ。
そして規制委は原電の説明に整合性がなければ審査を打ち切ることも含め、厳しい姿勢で臨んでいかなければならない。
(水野 倫之 解説委員)
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