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「新たなASF対策 今日からスタート」(ここに注目!)

合瀬 宏毅  解説委員

豚の伝染病のASF、いわゆるアフリカ豚熱(ぶたねつ)の感染拡大を防ぐための新たなルールが今日から施行されます。合瀬宏毅(おおせひろき)解説委員です。

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Q.アフリカ豚熱、なじみがないですね?
はい。今回の法律改正でASFアフリカ豚コレラはアフリカ豚熱に、CFSは豚コレラから豚熱にそれぞれ名前が変わったのです。きょうはそのうちASFの対策についてです。
そのASFですが、現在日本国内で感染が広がっている、CSFとは全く違う病気で、中国や東南アジアで拡大している豚の感染症です。感染力が強い一方で、ワクチンも治療法も無いため、万が一、海外からウイルスが侵入すれば、日本の養豚産業は壊滅的な打撃を受けかねません。
そこで今回の法改正ではASFに感染したイノシシや豚が近くで見つかった場合、たとえ感染していなくても、一定の範囲内の豚は、国が予防的に、殺処分することが出来るようにして、今日からその対策がスタートするのです。

Q.ずいぶん思い切った対策ですね?
他に有効な対策が無い以上、政府も農家も仕方ないという思いです。問題となってくるのは、どの範囲の豚を殺処分するかです。農林水産省では養豚場で死んだブタの数や症状の重さ、それに周辺のイノシシの感染状況などを総合的に考慮し、感染が確認された地点から、500メートルから3キロメートルの範囲などとしています。

Q.対象となる農家にとっては大変ですね。
そうなのです。自分の不手際でもないのに、近くでウイルスが見つかっただけで、豚が殺される。農家にとってこれほど理不尽なことはありません。
このため、ウイルスが入ってこないような万全の対策をとっている農場については、殺処分の対象から除外するとしている。

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Q.それで感染の拡大が防げるのでしょうか?
実際に韓国で、3キロメートルの範囲内で、豚の予防的殺処分をした結果、去年10月以降新たな感染が見つかっておらず、専門家も一定の効果はあるとみています。
とはいっても、健康な豚であっても予防的に殺す今回の対策、いわば最終手段です。まずは国内にウイルスを入れない。そして国内に入っても農場にウイルスを入れない。こうした複合的な対策が必要です。
今回の法改正では検疫の強化や、農家が守るべき、豚の管理基準も厳しくしました。2重3重の備えで、ASF対策を万全にして欲しいと思います。

(合瀬 宏毅 解説委員)

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