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「どうなる?『トランプ弾劾』の攻防」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカのトランプ大統領のいわゆるウクライナ疑惑で、野党・民主党は年内にも議会下院で大統領の弾劾訴追に踏み切る構えです。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストはトランプ大統領がツリーの前でファイティング・ポーズ?
A1)
「かかって来い!」と戦闘モード全開のトランプ大統領。「大統領は自分のために職権を乱用してウクライナに圧力をかけた」そう結論づけた下院情報委員会の調査報告を受けて、民主党は、下院司法委員会で大統領の弾劾訴追状を作成し、議会がクリスマス休暇に入る前にも本会議で決議案を採決する構えです。
大統領の弾劾訴追には、下院で過半数の賛成が必要です。いま民主党は下院で多数を占めているので、仮に採決したら可決は確実です。するとトランプ大統領は、史上3人目に弾劾訴追された“不名誉な大統領”となり、戦いのリングは年明けから議会上院の弾劾裁判に移ります。

Q2)
弾劾裁判はどうなりそう?
A2)
いま与党・共和党は、大きく分けて“3つのシナリオ”を検討しています。
まず“早期の幕引き”。「下院の決議は無効だ」として門前払い、あるいは裁判の開始早々「弾劾に値する行為はなかった」として審理を打ち切るシナリオです。その場合、上院で多数を占める共和党議員の賛成だけで議決できますが、世論の反発が心配です。
そこで2つ目は“評決”。上院で審理を尽くし、有罪か無罪かを判断するシナリオです。大統領を有罪として罷免するには、上院で3分の2の賛同が必要ですから、それは難しく、無罪の評決がほぼ確実です。ただ共和党から大量の造反者が出たら、大統領は職を追われるリスクも僅かですがあります。
そこで“3つ目のシナリオ”も浮上してきました。

Q3)
どんなシナリオですか?
A3)
世論の動向をにらみながら、裁判を出来る限り延々と“長期化”させるシナリオです。その場合、トランプ大統領は「不当な追及の犠牲者だ」として支持基盤を固め、再選に向けて追い風が吹くはずだと言うのです。しかも、民主党の大統領候補選びには、現職の上院議員がまだ4人いるので、裁判が長引けば、その選挙活動にも支障が出かねません。
どのシナリオを選ぶにせよ、トランプ大統領のサイドからリングにタオルを投げ込むことだけはなさそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)

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