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「制裁下のイラン 窮地のロウハニ大統領」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

アメリカによる経済制裁を受けているイランでは、先月半ばから、大規模な反政府デモが起きており、ロウハニ大統領が窮地に追い込まれています。
出川解説委員です。

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Q1:
イランの反政府デモ、原因は何ですか。

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A1:
きっかけは、先月15日、政府がガソリン価格を大幅に引き上げたことです。イランでは、自動車が主な交通手段で、政府が補助金を出して、ガソリンの価格を低く抑えてきましたが、一気に3倍にも値上げしたのです。全国数十か所で抗議デモが起き、一部は暴徒化して、治安部隊が実弾も使って鎮圧を図ったと見られ、国際的な人権団体は、少なくとも208人が犠牲になったと発表しています。しかしながら、政府がインターネットを遮断し、徹底的な情報統制を敷いているため、詳しい状況や死傷者の正確な数はわかっていません。

Q2:
ロウハニ大統領が、窮地に追い込まれているのはなぜですか。

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A2:
大もとの原因は、アメリカ・トランプ政権の経済制裁で、国民の暮らしが非常に厳しくなっていることです。国家収入の柱である原油の輸出量が10分の1以下に減り、食料なども軒並み値上がりしています。今回の抗議デモ、国際協調路線で、「イラン核合意」を実現させたロウハニ大統領の退陣を求める声もあがっています。議会でも、混乱の責任は政府にあるとして、石油相や内相に対する弾劾の手続きが進められています。

Q3:
ロウハニ政権は、持ちこたえられるでしょうか。

A3:
もし、石油相と内相が弾劾されると、政権運営は非常に難しくなります。また、来年2月に行われる議会選挙で、ロウハニ大統領を支持する「穏健派」の勢力が大幅に議席を失えば、政権は、いわゆる「レームダック化」するでしょう。

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一方のトランプ大統領は、3日、「イランの反政府デモを全面的に支持する」と発言しました。制裁の効果で、イスラム体制が内部崩壊するのを期待していると見られます。
ロウハニ大統領にとって、経済を立て直すうえで、国際社会からの支持と協力は「頼みの綱」です。今月、日本を訪問したいという意向を示していまして、これが実現するかどうかも注目されます。

(出川 展恒 解説委員)

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