▼きょうからスペインで地球温暖化対策の国連の会議「COP25」が開かれる
日本でも今年台風や水害が相次ぎましたが、温暖化が進むにつれて世界的にもこうした暴風雨や高潮の被害がさらに深刻化していくことが懸念されています。しかも、先月アメリカがパリ協定からの離脱を通告したことで、各国が結束して温暖化対策を進められるかという意味でも前途多難な航海になりそうです。
来年からパリ協定の実施期間に入るので主な議題はその詳細なルールを詰めることですが、日本が重要視している「市場メカニズム」と呼ばれる部分がまだ固まっていません。市場メカニズムとは、例えば日本が技術や資金を支援して途上国で二酸化炭素を減らすような仕組みですが、その「排出削減した量」つまり得られた成果をパイに例えると、両国でこれをどう分けるか?などを決めなくてはいけません。もし全部自分のもの、自分が削減した量だと互いに主張したら、パイは1つしかないのに二重に申告されて数字が合わなくなってしまいます。しかし、「ブラジルのトランプ」とも呼ばれるボルソナロ大統領のブラジルなどが自国に有利な主張を譲らずルール作りが難航することも予想されています。
産業革命前からの気温上昇をパリ協定で目指す1.5℃までに抑えようとすると、2050年には世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があります。そこで国連のグテーレス事務総長が呼びかけた9月の温暖化対策サミットでは、65か国がこの「2050年までに排出ゼロ」をめざすと約束しましたが、日米などは首脳が登壇することさえなく、足並みがそろいませんでした。
パリ協定では、来年の2月までに各国が削減目標を更新することになっていますので、COP25を通じて世界が削減強化に向かう機運を高められるのかが注目されます。
(土屋 敏之 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら