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「はやぶさ2地球帰還へ カギを握るのは?」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

探査機はやぶさ2が来年末の地球帰還に向け、リュウグウを出発。
小惑星の粒子を無事届けられるのか、水野倫之解説委員の解説。

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はやぶさ2のチームは今、世界に誇れる成果を残し、達成感で満ち溢れている。
まずは何といっても2回の着陸成功。
デコボコだったが目標からのズレはわずか60㎝とピンポイントの着陸技術も取得。
人工クレーターを作り、地下の新鮮な粒子の採取にも成功。
その玉手箱を持ち帰れば太陽系の謎解明に迫ることができることから笑顔があふれている。

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でもそんな中、神妙な面持ちのメンバーもいる。メインエンジンの運用チーム。
はやぶさ2、これまで計画通りだったので地球へ帰ってくるのは当然と思うかもしれないが、うまく帰還できるかどうかカギを握っているのが、メインエンジン。
明日からの噴射を前にメンバーの一人は「めっちゃ、緊張している」と話す。

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往きは作動し続けたが、初号機では帰還途中にすべて壊れて一時、絶体絶命になったこともあった。もちろん耐久性を向上させるなど改良してはいるが、この1年半全く稼働させておらず、本当に動くのかどうか。
特に心配なのは、2回の着陸で大量に舞い上がった砂がエンジンに影響するんではないかという点。
そこでいきなりエンジン全開にするのではなく、あすから2週間かけて様々な条件で作動させて燃料の流れや電圧などを確認し、その後本格稼働させることに。
はやぶさ2、今の最大の任務はリュウグウの玉手箱を無事に地球に届けること。
飛行予定距離は8億キロ、最後まで慎重な運用を続け、太陽系のなぞ解明につなげていってほしい。

(水野 倫之 解説委員)


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