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「米・トルコ首脳会談の焦点」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

アメリカのトランプ大統領とトルコのエルドアン大統領が、13日、ホワイトハウスで、首脳会談を行い、先ほど終了しました。出川解説委員です。

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Q1:
会談の焦点は何だったのですか。

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A1:
大きく3つあります。▼トルコがシリア北部で行った軍事作戦。▼過激派組織ISの戦闘員の扱い。そして、▼トルコがロシア製のミサイル「S400」を購入した問題です。

Q2:
トルコによるシリア北部での軍事作戦については、どうなりましたか。

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A2:
トランプ大統領は、会談の冒頭で、「シリア北部の停戦は維持されており、国境地帯の情勢は安定している」と述べました。トルコが、シリア北部のクルド人武装組織への軍事作戦を停止したのは、自らの外交の成果であると強調するとともに、シリア北部からアメリカ軍を撤退させた判断の正当性を訴えました。
これに対し、エルドアン大統領は、敵対するクルド人組織が国境地帯から完全に撤退するまで軍事作戦を続ける考えを示すとともに、アメリカが、クルド人組織への支援を打ち切るよう要請したもようです。

Q3:
次に、ISの戦闘員の扱いというのは、どのような問題ですか。

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A3:
トルコ政府は、国内で身柄を拘束中のISの戦闘員およそ1200人について、それぞれの出身国に送り返す意向を表明し、今週から、一部の送還を始めました。さらに、シリア北部で、クルド人組織が身柄を拘束していたISの戦闘員らが、戦闘の混乱の中、一部が脱走したと伝えられます。
ISの戦闘員らが、今後、移動した先で、新たなテロを起こすことが懸念されます。ちょうど4年前には、フランスのパリで、ISによって、130人が犠牲になる同時多発テロ事件も起きました。

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もうひとつ、トルコが、ロシア製のミサイル防衛システム「S400」を購入した問題は、NATO・北大西洋条約機構の同盟国である両国の関係をぎくしゃくさせています。トランプ政権の高官は、トルコがS400の導入計画を中止しなければ、制裁を科す可能性もあると警告しています。
いずれも難問ばかりで、解決は容易ではありませんが、中東だけでなく、ヨーロッパなど世界の安全保障にも関わるだけに、テロの拡散を防ぐための対策や、S400の購入問題で、両首脳がどこまで歩み寄れたのかが、注目されます。

(出川 展恒 解説委員)

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