NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「米中対立 両首脳の泣きどころは?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

米中両国の対立はこの先どうなるでしょうか?トランプ大統領は近く習近平国家主席と電話で会談する意向です。髙橋解説委員です。

c190819_4.jpg

Q1)
けさのイラストはトランプ大統領が武蔵坊弁慶?
A1)
さながら怪力無双の荒法師、トランプ大統領が持つ薙刀が、中国製品に対する追加関税です。いまの米中対立は、こうした貿易摩擦やファーウェイなどのハイテク摩擦にとどまりません。台湾には新たな武器売却を決定。また緊迫する香港情勢にも、トランプ大統領は懸念を表明し、中国当局の対応をけん制するのです。相手が「内政干渉だ」と嫌がる泣きどころも敢えて攻めることで、譲歩を迫る狙いがあるのでしょう。

Q2)
トランプ大統領が弁慶なら習近平国家主席は牛若丸?
A2)
と思われるかも知れませんが、いまの習主席は牛若丸のように飛べません。中国側は国内問題に手一杯で、アメリカへの対応に苦慮する様子もうかがえます。現に、中国の国営メディアは最近、以前もご紹介したこんな言葉を盛んに使います。「談談打打」=戦いながら話し合う。一方的な譲歩には応じないものの、交渉自体は続行しようというのです。このため来月ワシントンで予定されている閣僚級の貿易交渉も、中国側は今のところ代表団を派遣する見通しです。交渉の行方は予断を許しません。ただ、強気の姿勢を崩さないトランプ大統領にも相手に攻められたくない、いわば“弁慶の泣きどころ”はあるのです。

Q3)
トランプ大統領の泣きどころは何ですか?
A3)
みずからの再選に欠かせない中西部の“農家票”です。中国との関税引き上げの報復合戦で、こうした中西部の各州では今、農産物の最大の輸出先だった中国市場を失いつつあるため、農家の経営破たんが相次いでいるからです。だからこそ、トランプ大統領は中国によるアメリカ産の農産物の輸入再開を最優先で求めているのでしょう。
はたして米中双方は、このまま相手の泣きどころを叩き合うか?それとも自分の泣きどころを守ろうと歩み寄るか?大きな岐路に差し掛かることになりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)

キーワード

関連記事