NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「『隗より始めよ』五輪へ都の勤務試行は」(ここに注目!)

西川 龍一  解説委員

ここに注目!も1年後に迫った東京オリンピックについてです。

c20190724-0.jpg

Q1.小池都知事の旗には、「隗より始めよ」、どういうことですか?

A1.物事は言い始めた者から始めよということで、東京都の取り組みに注目してみました。オリンピック期間にあわせて22日月曜日から試行されている時差勤務や在宅勤務の取り組みです。新宿にある都庁の本庁舎に勤めるおよそ1万人を対象に、朝のラッシュ時間帯の午前8時から午前10時まで公共交通機関を利用しないことを求めています。このほか、在宅勤務や職場以外でのいわゆるテレワークを進めるため、多摩地域の市役所などに臨時のサテライトオフィスを設置するといった取り組みも進めています。

Q2.随分大がかりな取り組みのようですね?通勤時間帯とオリンピックの混雑って関係があるんですか?

A2.それが大ありなんです。オリンピックは競技種目が多いこともあって、競技時間帯も連日早朝から夜遅くまでに及びます。開始時間は概ね午前9時ごろからが多く、観客が会場に向かうのは、まさに通勤時間帯です。大会期間を通して首都圏の鉄道はふだんより利用者が1割増えるとみられていますが、首都圏の鉄道は慢性的に混雑していて、現状でもラッシュアワーには通勤客が乗り切れない路線もあります。日中であれば、運行本数を増やして対応する手もありますが、朝はすでに飽和状態です。いずれにしても鉄道会社の協力は不可欠です。

Q3.それなら確かに効果はありそうですが、都庁だけでは限定的ですよね?

A3.もちろん、民間の協力は欠かせません。そこで「隗より始めよ」。まずは都が率先して大規模な試行をすることで効果を検証する、そして旗振り役としての姿勢を示すことで、民間の賛同を得ようという目論見があります。

Q4.目論見通り行きそうですか?

A4.都の取り組みにはのべ3000の企業や団体が協力を表明していて、スタート時の体制は整った形です。

c190724_03.jpg

課題を見極め、メリットが認識できれば、これまでなかなか広がらなかった時差勤務やテレワークが、成熟都市で行われるオリンピックパラリンピックのレガシーの一つとして大会終了後も定着することにつながるかもしれません。

(西川 龍一 解説委員)

キーワード

関連記事