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「国のロケットじゃあり得ない?! 民間ロケットの再挑戦」(ここに注目!)

水野 倫之  解説委員

今年5月、国内の民間として初めて宇宙に到達した北海道のベンチャー企業のロケットが、今週末、再び打ち上げに挑戦。水野倫之解説委員の解説。

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イラスト、民間ロケットが次々と打ち上げの順番待ってるが初成功からわずか2か月で打ち上げというのは、国のロケットではあり得ない早いペースで、民間ならでは。

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このロケット、北海道のベンチャーが開発した全長10mの超小型ロケットで、今年5月、宇宙に到達することに成功。
国のロケットならここで一息入れるところだが、民間としてはのんびりもしてられない事情も。
このベンチャーは、需要が高まる超小型衛星の打ち上げビジネスへ参入し、毎週のように打ち上げることが将来の目標。
しかし世界ではすでにアメリカでベンチャーが超小型衛星の打ち上げを始めるなど競争は激しく、開発を急がなければ。ただ実用化にはまだ時間がかかるため、まずは短い間隔で打ち上げができる会社が日本にあることを世界に印象づけたい狙い。
すでに部品は作り置きしてあり、今回1か月で組み立て打ち上げにこぎ着けた。
そしてもう一点民間ならではなのが、国のロケットではありえないものを打ち上げる点。

様々運ぶが、中でも注目されるのが紙飛行機で、宇宙空間に放出。
「宇宙で夢をかなえます!」という民間ならではの取り組み。
紙飛行機の滞空時間のギネス記録を持つ日本人が「いつか宇宙で飛ばすのが夢だ」と語っているのをベンチャー側が聞きつけ、スポンサーになってもらい、手のひらサイズの紙飛行機を放出。軽いので大気圏で燃え尽きることなく地上まで飛んでくると見られる。

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ベンチャーとしては衛星以外にも様々運べることを実証し、今から客層を広げてビジネスに備えたおきたいわけ。
ただビジネス成功させる上で最も重要なのはロケットの信頼性であることは言うまでもない。連続で成功させることができるのか、週末の打ち上げに注目。

(水野 倫之 解説委員)


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