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「緊迫ペルシャ湾 危機は回避できるか」(ここに注目!)

出川 展恒  解説委員

世界のエネルギーが集中するペルシャ湾を舞台に、アメリカとイランの緊張が非常に高まっています。危機を回避する手立てはあるのでしょうか。出川解説委員です。

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Q1:
まず、現在の状況をどう見ますか。

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A2:
「戦争」とは言いませんが、「軍事衝突」の一歩手前、「一触即発」の危険な状況です。日本の海運会社が運航するタンカーが何者かの攻撃を受けた事件に続いて、20日には、ホルムズ海峡近くの上空を飛行していたアメリカ軍の無人偵察機を、イランの革命防衛隊が撃墜しました。これに対し、アメリカのトランプ大統領は、イランの軍事施設への攻撃を一時承認したものの、攻撃開始10分前に撤回したと明らかにしました。もし、実際に攻撃が行われていたなら、イラン側が、ペルシャ湾岸にあるアメリカの施設に報復攻撃を行っていたのは確実です。

Q2:
この危機を打開する手立てはあるでしょうか。

A2:
トランプ大統領も、イランの指導者たちも、「戦争は望まない」と発言しています。しかし、軍事衝突は、偶発的な出来事や誤解が原因で起きるものです。

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撃墜された無人偵察機については、イランの領空に侵入していたと主張するイランと、国際空域を飛んでいたとするアメリカの主張が真っ向からぶつかり、中立的な機関による真相究明が急がれます。
そして、アメリカ軍の偵察活動も、イラン側の警戒活動も続いているわけですから、何らかのきっかけで衝突が起きることを未然に防ぐことが何よりも重要です。国際社会が一致して、双方の指導者に自制を求めるしかありません。

Q3:
それは可能でしょうか。

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A3:
国連安保理も大切ですが、主要国の指導者が顔を揃える今週末のG20大阪サミットも重要な機会となるでしょう。そもそも、現在の危機は、トランプ大統領が、先月、イランに対する経済制裁を強化するとともに、ペルシャ湾に原子力空母などを派遣したのが発端です。トランプ氏は、経済的、軍事的圧力を最大限に強めれば、イラン側が対話に応じると考えているようですが、その認識が根本的に間違っていることを、気づかせなければなりません。一方で、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席には、イランの指導者への影響力を発揮し、自制を働きかけてもらうことが大切だと思います。

(出川 展恒 解説委員)

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