東京のアメリカ軍横田基地の騒音をめぐって、周辺の住民が飛行差し止めと賠償を求めた裁判で、東京高等裁判所が6日、判決を言い渡します。争点や各地の裁判についてお伝えします。
Q:家族が飛行機の騒音で困っていますね。
A:私も先日、基地のすぐ近くまで行ってみましたが、時間帯によっては、数分おきに騒音が続いて、近くに住んでいる人は大変だと思いました。
横田基地は都心からおよそ40キロのところにあり、周辺は人口が密集した地域です。今回は東京・八王子市などの1000人余りが夜から朝にかけての飛行差し止めや賠償を求めています。
Q:アメリカ軍や自衛隊の基地の騒音をめぐる裁判は、これまでも起きていますね。
A:判決も相次いでいます。
4月には普天間基地、一昨年は嘉手納基地(かでな)、3年前には厚木基地でいずれも賠償が命じられました。横田基地も一昨年1審で6億円の支払いを命じられたのですが差し止めは認められず、今回が2審判決です。
Q:どうして差し止めは認められなかったんですか。
A:アメリカ軍機の運行は、日本政府が制限できないという判断です。
各地とも認められませんでした。ただ、厚木基地の自衛隊機については、1、2審が夜間から早朝の飛行差し止めを命じたことがありました。しかし最高裁は「自衛隊機の運行には高い公共性がある」として、逆転敗訴を言い渡したんです。
Q:ただ住民が求めているのは、騒音を減らすことですよね。
A:今回の判決も差し止めについてどこまで言及するかが注目です。横田基地の騒音訴訟はもう40年以上繰り返し起こされています。賠償が命じられても騒音が続く限り訴えはなくなりません。厚木基地も新たな提訴があり、岩国基地や小松基地など各地で裁判が続いています。
このため司法にとどまらず、少しでも騒音をなくすための取り組みが求められます。「静かな夜のだんらんを取り戻したい」という住民の願いがかなうよう、問題の解決を望みたいと思います。
(清永 聡 解説委員)
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