白血病などのガンを治療するための新たな免疫療法が、日本でも承認される見通しになりました。
注目を集めるのはその効き目と高い価格です。
竹田 忠(たけだ・ただし)解説委員です。
[ 新たな免疫療法というのは、どういうもの? ]
一言でいうと、最先端の遺伝子治療薬です。
キムリアという名前がつけられていまして、その人の血液から免疫細胞を取り出して、遺伝子を操作して、がんを攻撃する力を強めて、それを点滴でまた体内に戻す。
こうすることで臨床試験では、対象となっている一部の白血病で、患者の8割で症状が改善したというんです。
[ 実際に使えるようになるのは、いつから? ]
厚生労働省は来月にも正式に承認して、早ければ5月にも保険が適用される見通しです。
ただ問題は、その価格なんです。
この治療、基本的には一回ですむ、とされているんですが、すでに治療が始まっているアメリカではその一回の値段が、5000万円を超えているんです。
[ なぜ、そんなに高いの? ]
それはオーダーメイドだから。
本人の血液から作った、本人にしか使えない薬だから、高い、という理由になっている。
ただ、日本では、公的医療保険で、高額な医療費の負担上限が決まっています。
もし仮に、アメリカと同じように一月で5000万円かかったとしても個人の負担は平均的な年収の人で、60万円程度ですむ可能性もある。
ただ、その場合、残りの4940万円は、医療保険がみることになる。
ただでさえ厳しい保険医療財政がさらに圧迫されることになる。
[ 患者の立場からすれば、たとえ高くても、効果があるクスリはチャンと保険でみるべき! ]
その通りだと思います、でも今後は、同じような超高額新薬が続々と登場する予定なんです。
そうなると大切な国民皆保険を守るためにいろんな検討が必要になる。
たとえば、高い新薬の値段をどれだけ抑制できるか?
かつて高すぎると批判を浴びたオプジーボは今は4分の1の価格にまで下げられている。
また、効き目の高い高額な新薬を保険の対象にするかわりに逆に、軽い症状を対象にしたクスリ、つまり市販薬と同じような薬は、保険から外す、とか、そして三つ目は、日本では行われていませんが、効果があったら払う、という成功報酬のような仕組をとっている国もあります。
今後は、いろんな議論が必要になると思います。
(竹田 忠 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら