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「東京医大不正入試 初!『消費者団体』が返金求め提訴」(ここに注目!)

今井 純子  解説委員

東京医科大学の不正入試問題で、消費者団体が受験生に代わって、受験料などの返還を求める訴えを、きのう、起こしました。今井解説委員。
 
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Q)タイトルに「初!」とありますが、何が初めてなのですか?
A)2年前にできた新しい制度で、訴訟が起きたのが初めてなのです。この制度。悪質商法などの被害者に代わって、「特定適格消費者団体」という、国から特別の認定を受けた団体が、被害者におカネを返すよう訴えることができるというものです。

Q)どのような仕組みなのですか?
A)裁判は、2つの段階からなります。まずは、消費者団体と大学の間で、不合格となった女性や三浪以上の受験生に、大学が「おカネを返す義務があるかどうか」という点を争います。消費者団体側は、得点調整をすることを事前に説明していなかったことは民法の不法行為にあたる。それなら受けなかったという受験生が多いはずだとしています。
そして、もし裁判所が訴えを認めたら、2つ目の段階に進みます。消費者団体が、対象となる受験生に手続きへの参加を呼びかけ、参加をしたら裁判所の決定に応じて、受験料が戻るという仕組みです。

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Q)通常の裁判とどう違うのですか?
A)まず、受験生にとっては、勝つ可能性が高いとわかったあとで、裁判に参加することができます。しかも、消費者団体側から、大学の名簿をもとに、ひとりひとりに呼びかけがくる形になります。手続きも簡単です。
一方、請求できるのは、受験料や交通費などで、通常の裁判では可能な、慰謝料などは請求できません。また、対象者も、この制度ができた後、去年と今年の受験生に限られます。

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Q)限界もあるのですね。
A)そういう人は、自ら弁護士や弁護団に相談するという方法があります。ただ、一から裁判を起こすのは、ハードルが高い。もともと、この仕組み。数千円、数万円程度の被害で、泣き寝入りしている多くの消費者を救済しようという目的でできました。今回も、受験料だけでも返ってくればいいと思っている人には、期待がもてる裁判です。医学部の不正入試は、他の大学でも明らかになっています。そこにも影響を及ぼすと見られるだけに、今回の裁判の行方は、その意味でも、注目したいと思います。

(今井 純子 解説委員)


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