中東のサウジアラビア、UAE・アラブ首長国連邦、エジプトなどが、カタールと国交を断絶し、きょう(5日)でちょうど1年です。長期化の背景について、出川解説委員です。
Q1:
まず、注目のカタール、どういう国ですか。
A1:
ペルシャ湾に面し、秋田県ほどの大きさですが、エネルギー資源が豊富で、LNG・液化天然ガスの輸出量は世界1位です。日本も発電用にカタール産のLNGを大量に輸入しています。近年めざましい経済成長を遂げ、カタール航空や、衛星テレビ局の「アルジャジーラ」は日本でもおなじみです。
Q2:
国交断絶が1年も続いたのはなぜですか。
A2:
「カタールがテロ組織を支援している」というのが、サウジアラビアなどの言い分ですが、背景には、中東地域でのサウジアラビアとイランの激しい覇権争いがあります。
サウジアラビアは、同盟国のカタールが独自外交を進めていることが許せないようで、カタールに対し、イランとの外交関係を縮小することや、各国の政権を批判する「アルジャジーラ」を閉鎖することなどを要求しています。これに対し、カタールは、「主権の侵害」だとして強く拒否しています。
Q3:
カタールは、この状況にどう対応してきましたか。
A3:
カタールにとって、サウジアラビアなどによる経済封鎖は大きな打撃ですが、天然ガスと石油の輸出だけは、何とか続けることができています。これは、相手国もエネルギー不足に陥る恐れがあるからです。最近のエネルギー価格の上昇も追い風となって、今までは、何とか持ちこたえてきました。
しかし、このまま経済封鎖が何年も続けば、カタール経済は行き詰まると思います。そうなりますと、LNG価格の高騰を招いて、日本も影響を受けるでしょう。
Q4:
解決のカギはどこにありますか。
A4:
私は、アメリカのトランプ大統領が握っていると思います。今、サウジアラビアなどとともに、イランの封じ込めに躍起になっており、アラブの内輪もめは困るとして、間をとりもとうとしています。しかし、カタールは、理不尽な要求には屈しないとしており、海底ガス田を共有するイランとの関係を断ち切れない事情もあるだけに、関係修復は決して容易ではありません。
(出川 展恒 解説委員)
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