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上海がコロナで都市封鎖 中国経済はどうなる?

神子田 章博  解説委員 石井 一利  解説委員

中国が新型コロナウイルスの急速な感染拡大に揺れています。習近平国家主席が党のトップとして異例の三期目をめざす大事な年に、経済・国内政治・そして外交面にまで影響がおよぶ事態となっています。きょうは新たな感染拡大が習指導部の足元をおびやかしかねない現状について経済担当の神子田解説員と、お伝えします。

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(石井)
まず感染拡大の現状についてです。

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中国は、大規模な検査とともに、厳しい移動制限で感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策をとってきました。
しかし、中国でも感染力の強いオミクロン株が広がり、3月以降、感染者数が急増。
特に上海では、無症状者を含む新規感染者数が、3月1日、わずか2人でしたが、半月後には100倍以上となり、4月には、2万7000人を超えました。
さらに、17日、3人の死亡が発表されました。
上海では、ぜんそくの症状を訴えた看護師が勤務先の病院で診察を受けられず死亡するなど人々が医療機関に行けず、食料などの生活物資が足りないといった混乱が続き、住民の不満も高まっています。
神子田さん、コロナの急速な感染拡大は、中国経済にも大きな影響を与えそうですね。

(神子田)
感染拡大の経済の影響はすでに形になって表れています。

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18日発表された中国の今年1月から3月のGDP・国内総生産の伸び率は、前の年の同じ時期と比べて4.8%のプラスとなりました。2月までの統計がでた時点では、5%を超える数字も見込まれていましたが、伸び悩む形となりました。中国経済は去年コロナ禍による消費の停滞や不動産産市場の低迷で減速傾向が続いていました。

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しかし共産党大会をしっかりした経済の足取りで迎えようと、年間の成長目標を5.5%前後と高めに設定。公共投資を大幅に増やすなど経済のテコ入れをはかってきました。しかし、上海市のほかにも、南部や東北部の主要都市で事実上の都市封鎖が行われた結果、消費に陰りが生じました。また上海や長春はそれぞれ中国を代表する自動車メーカーの生産拠点となっていますが、厳しい外出制限で従業員が出勤できず生産が大幅に減少。この影響で、中国の自動車販売台数は、先月は11.7%のマイナスと大幅に減少しました。このように新たな感染拡大は中国経済に大きな影を落としています。

(石井)
経済への影響が大きいと分かりながら、なぜ、「ゼロコロナ」政策を転換できないか。

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上海では、当局にも影響力のある感染症の専門家が、去年、「このウイルスと共存するための知恵が必要だ」といった考えを示すなど、経済への影響を抑えるため政策を転換し、いわゆる「withコロナ」路線の道を探るべきだという声も出ていました。

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しかし、習近平指導部は、これまでコロナの封じ込めに成功しているのは、共産党統治の正しさだと誇示してきたこともあり、これまでのところ、変更する考えはなさそうです。
習主席は、3月、重要会議を開き、「堅持こそ勝利だ」と述べ、「ゼロコロナ」政策の徹底を強く指示しています。
政策維持の背景には、医療体制がぜい弱だとする当局の強い懸念があるとみられます。
それを裏付けるようなリポートが、政府系機関で、先月、発表されました。
人口1億2000万あまりの広東省をモデルに、海外から移動する人の多さや、移動制限といった規制を緩和した場合の感染者数などを予測しています。
それによりますと、「共存」戦略に転換し、規制を大幅に緩和した場合、感染者数は、年間680万人に上り、死者は6万4000人を超えるとしています。
中国では、最初に感染者と死者が増えた2年前、政府の初期対応の遅れを指摘する厳しい声が出ただけに、「ゼロコロナ」政策の取りやめは、感染者がさらに増えかねず、簡単ではなさそうです。
神子田さんゼロコロナ政策を堅持することで中国経済には今後どのような影響が懸念されるでしょうか?

(神子田)
感染拡大を封じ込めるために人の移動に厳しい制限がかかることで物流の動きが止まり、部品や原材料の供給に深刻な混乱が生じることです。

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例えば上海は、海外や、製造業が集積する近隣の地域から、様々な製品や部品が集められ、そこから中国の内陸部に運ばれるという巨大な国際輸送基地ですが、事実上の都市封鎖が行われた結果その機能が大幅に低下しているほか、中国各地でも感染が広がっている地域からのトラックなどの出入りを止めようという動きがあると伝えられています。こうしたなか、四川省の成都市や重慶市などにあるパソコンやスマホなどを組み立てる工場では、現地では感染が広がっていなくても、部品が足りなくて生産できなくなっていると言われます。

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こうした物流の混乱が中国経済にもたらす影響について、香港中文大学の研究チームは、中国国内を走行するトラックおよそ200万台の位置情報をもとに、トラックが移動する状況と各地区の経済活動がどう関係するかを明らかにしたうえで、中国全土の10分の1の都市で二週間にわたって都市封鎖された場合には、控えめに見ても、GDPの3.1%日本円で6兆円近い経済的なコストが生じるという分析結果を発表しました。また上海がめざしていたとされるいわゆるwithコロナ路線をめぐっては、経済界から中国全体に広がっていく期待が高まっていましたが、結局中国政府が「ゼロコロナ」政策を堅持することになったため、今後の成長の勢いが大きく削がれるという悲観的な見方も強まっています。
さらに影響は中国国内にとどまりません。世界の工場である中国で物流網の混乱から生産が滞れば、日本やアメリカなど中国製品を多く輸入している国では供給不足に陥り、ただでさえ激しく値上がりしている物価の一段の上昇を招くことも懸念されます。

(石井)
経済の予想以上の落ち込みは、習近平指導部にとっても痛手です。

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特にことし後半、9500万人もの党員を率いる指導部の人事を決める共産党大会を控えます。
習主席が党のトップを続投し、異例の3期目入りを目指すと言われているなか、中国のことしの目標は安定です。
しかし、上海の感染者の急増は、安定を崩しかねません。上海市トップの書記を務める李強氏は、習主席のかつての部下で、最高指導部入りも取りざたされていますが、コロナ対応で住民から批判され、その去就が注目されています。
さらに、コロナの感染拡大で経済の基盤が弱まることは、中国外交の足元も揺るがしています。習主席とロシアのプーチン大統領が、2月、首脳会談を行い発表した共同声明では、「両国の友好関係に限りはなく、協力関係の分野で『禁じられた』ものはない」とまで宣言。アメリカとの厳しい対立が続く中、ロシアとの間で軍事面も含めて広い範囲で協力関係を深めていくことを確認しました。ところが、その直後、ロシアがウクライナに軍事侵攻。ロシアが苦戦し、厳しい経済制裁を受けるなど、国際社会から孤立したことは、中国にとっても大きな誤算で、党内からも批判の声が出ていると伝えられています。これ以上、ロシアに肩入れすればアメリカなどから経済制裁を受ける恐れもあり、これまでのような強気一辺倒の外交政策を続けるわけにもいかなくなっているのです。

(まとめ)
中国にとって、ことしの党大会は、大きな転換点になるとも指摘されています。
党大会を前に、習近平指導部は、その政策や方針が、いったい誰のためのものなのか、国の内外からかつてないほど、厳しい視線が向けられています。

(神子田 章博 解説委員 / 石井 一利 解説委員)

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