ページの本文へ

かごしまWEB特集

  1. NHK鹿児島
  2. かごしまWEB特集
  3. 菓子職人の挑戦「H3ロケット、いけ!」期待込めた新作お菓子

菓子職人の挑戦「H3ロケット、いけ!」期待込めた新作お菓子

  • 2023年04月27日

 宇宙開発の最前線「種子島」。ロケットの打ち上げにあわせて多くの人が集まりますが、コロナ禍では島を訪れる人が減り観光にも大きな影響がありました。
そんな中、日本の新たな主力ロケットH3の打ち上げ「観光の起爆剤になって欲しい」と話していたのが種子島の菓子職人。H3ロケットに期待を寄せながら自らも2年かけて新作のお菓子開発に挑戦。菓子作りに取り組む姿とそこに込められた思いを取材しました。

(鹿児島放送局 報道カメラマン 笹原怜奈)

種子島宇宙センター。発射場に姿を現すH3ロケット

種子島で大正2年から続く老舗菓子店、3代目の酒井通雄(さかい・みちお)さん
店に並ぶのは島の特産品を使ったこだわりのお菓子です。

菓子職人の酒井通雄さん
種子島で大正2年から続く老舗菓子店

▼2021年10月

なかでも長年にわたって愛されているのが「ロケット饅頭(まんじゅう)」。ロケットの打ち上げの見学に訪れた観光客や仕事で訪れた関係者などに人気です。
 

ロケット饅頭(まんじゅう)

以前は国内外からの観光客で賑わっていた種子島もコロナ禍で訪れる人が激減。酒井さんの店でも売り上げは半減しました。そして”新たな観光の起爆剤”と期待を寄せていたH3ロケットの開発も難航していました。

コロナ禍で客足が遠のいた
酒井さん

コロナ禍になって先行きが読めない状態で種子島にとってH3ロケットの打ち上げは希望の光だと思うんですよ

▼2022年1月

H3ロケットは希望の光。先が見通せない状況でも酒井さんはこのロケットに期待を込めて、
新しいお菓子作りに挑戦することにしました。”新たな観光の起爆剤”となるロケットとともに自分のお菓子でも街を盛り上げたいと考えたのです。新しいお菓子の開発に一緒に取り組んだのは菓子職人の2人の娘たちです。

お菓子をつくる様子
長女 
美佳さん

時間をとって何か(新しいお菓子)を一緒に作るのは 今回初めてです

さまざまな試作品

ロケットや宇宙をイメージして、島の特産品を使います。紫芋のペーストを生地で巻き込むとブラックホールのようなロール菓子に。安納芋入りのドーナツは惑星の円盤のように。うまくいったように見えましたがいざ試食をしてみると。。。

長女 
美佳さん

塩味が強いね

次女 
恵里佳さん

ノーコメントで

▼2023年1月

H3ロケットの打ち上げが相次いで延期になる中、酒井さんたちは10回以上の試作を繰り返しました。そしてたどりついたのはこれまでのまんじゅうとは違い、パイ生地でロケットをかたどった洋風のお菓子。日本の観光客だけでなく外国から訪れる人たちにも食べてもらいたいという思いも込められています。
 

パイ生地でロケットをかたどった洋風菓子
長女
美佳さん

サクサク!外の皮も薄くしてるからいいね!

酒井さん

おいしいよこれ

新作のパッケージ

そしてパッケージにもこだわりました。近未来的なロケットのデザイン、英語で”未来”を意味する”Future”の文字です。

酒井さん

ロケットに未来を託し、種子島の未来を託し、少しでもいい方向にいけばいいんじゃないかなと

▼2023年3月7日

待ちに待ったH3ロケット初号機の打ち上げ日です。酒井さんも家族と一緒にロケットの発射地点が見える南種子町の長谷公園にやってきました。歴史的瞬間を見届けようと、大勢の人が訪れていました。
 

酒井さん

眠れなかったですよ。本当に打ち上げるんだって思って。今度は絶対間違いないでしょう

打ち上がるH3

10時37分H3ロケット初号機は白い煙を出しながら青空に上がっていきました。酒井さんも「いけ!」と声を上げながら見守りました。

家族で打ち上げを見守る
酒井さん

あー上がった。久しぶりに打ち上げに立ち会ってすごく感動しました

上空を見つめる酒井さん

ところが数分後、会場に流れたのは「指令破壊」をしたというアナウンス。打ち上げは失敗しました。

なかなか一筋縄じゃいかないですね。それでも何回もチャレンジして最終的に成功すればOKだと思うんですよ、途中でやめたら失敗になるけどね。また次の打ち上げ来ます、この場所に

店に立つ酒井さん

落ち込んでいる暇はないと酒井さんは島の港の店舗に向かいました。
そこには手土産を買い求める人たちの姿がありました。

東京から
来た大学生

町全体が宇宙色にあふれていて、すごく楽しい町だなと思いました。家族とかに食べて欲しいですし、少しでも種子島の空気を味わってもらえたらなって思って買いました

愛知から
来た会社員

安納芋が種子島名物っていうのは知っていましたが、それがこのロケットとマッチしていいお菓子だなと思います。次回の打ち上げもまた来たいと思います

新しく作ったお菓子をお土産にと、何箱も手にする人たちの姿。酒井さんは種子島にとってロケットは大切なものだとあらためて感じたと言います。

酒井さん

みなさんの期待が大きいことが、今回本当によく分かりました。また会いましょうって声をかけました。次の機会がいつになるか分からないですけど、また盛り上げていけるように、種子島の特産品を使ったお菓子を通じて島をPRできたらと思います

取材を終えて

 コロナ禍でも前向きに取り組んでいる酒井さんに2年前に出会い、ロケットに寄せる思いと新しいことに挑戦する姿を取材し続けてきました。その姿からは、種子島の人々がロケットへの強い期待と観光の柱としての存在感の大きさを実感しました。この先も続くロケット開発。島の人たちの姿や思い、盛り上がりをこれからも取材していきたいと思います。

 

  • 笹原怜奈

    ニュースカメラマン

    笹原怜奈

     2017年入局 大阪局、鹿児島局で勤務。赴任して1番よく訪れている島は種子島!ロケットの迫力と地元の熱い思いに、カメラマン心をくすぐられ続けています。

ページトップに戻る