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魚じゃないよ…「回遊性」って何?

鹿児島のまちづくりの「キーワード」を考えます!
  • 2023年04月21日

鹿児島市役所で、今月19日に行われた連携協定の締結式。鹿児島市と協定を結んだのは、全国の自治体と市街地の活性化に取り組む「UR都市機構」です。協定書では、中心市街地に新たなにぎわいを創出するため、社会実験の実施や新規事業の検討を、共同で行っていくことを確認。

締結された連携協定の意義は何なのか。そして、鹿児島市のまちづくりは、今後どうなっていくのでしょうか。

 (鹿児島放送局 金子晃久)

【再開発が進む中心市街地】


鹿児島市の中心市街地をめぐる状況は、ここ数年でめまぐるしく変わっています。「Li−Ka1920」「センテラス天文館」などの商業施設が相次いで開業したほか、鹿児島中央駅の西口にも、4月に「AMU WE」が入る複合ビルがオープン。やや離れた高麗町にも、5月に外資系ホテル「シェラトン鹿児島」が開業するなど、再開発のエリアが拡大しています。

そのようななかで、まちづくりのキーワードとなっているのは、「回遊性」の向上です。 

【「回遊性」の向上とは?】

いったいどんな意味なのか?取材したのは、鹿児島市と協定を結んだ「UR都市機構九州支社」の間瀬昭一支社長。「回遊性」向上のポイントを聞くと、こんな答えが返ってきました。

間瀬支社長

一言で言えば「歩きながら楽しめる」につきます。

間瀬さんが指摘したのは、“歩きながら楽しめる”まちづくり。マグロなどの回遊魚のように、人の流れを循環させるのが狙いです。

日本各地でまちづくりに取り組んできた間瀬さん。その眼に、天文館のまちはどう写ったのでしょうか?

間瀬支社長

ストリートとしてしっかりしていますし、奥の方までお店が張り付いていて、かなりコンパクトに収まっている。ポテンシャルは当然あると思います。

【中心市街地の弱みは】

一方で課題も。人の流れ、つまり「回遊性」が滞っているエリアがあるというのです。それが、天文館と本港区エリアを結ぶ、「いづろ通り」「マイアミ通り」の周辺です。大通りに面しているにもかかわらず、路面電車の内側と外側でにぎわいに大きな差が生じていると間瀬さんはみています。

間瀬支社長

駅側の方では開発がどんどん進んでにぎわいが増していますが、こちらは伸びしろがあると思います。これから本港区を含めて、どうまちを広げられるかという可能性を探っていくべきエリアだと考えています。

本港区といづろ通りを結ぶ「マイアミ通り」

そこで今年度、市とともに実施を検討しているのが、マイアミ通りでの社会実験。飲食店などの出店を歩道に展開して、天文館から本港区エリアへと人が歩いて回りたくなるような魅力を生み出そうという計画です。

【専門家はどう考える?】 

「回遊性」をさらに高めるには何がポイントとなるのか。鹿児島市の都市政策に詳しい、鹿児島大学大学院理工学研究科の木方十根教授は、人が歩ける距離として、半径600メートルという数字を意識するのが重要だと指摘します。
 

鹿児島大学大学院 木方十根教授
徒歩圏というのは、だいたい半径600メートルといわれている。天文館のアーケードのところから中心を取ると、甲突川、いづろ通の手前、県民交流センターあたりが、ちょうど半径600メートルで15分から20分で歩ける距離。すると、鹿児島中央駅とかウォーターフロントパーク、鹿児島駅は若干そこから外れる。何か補助的な交通手段で支援をしないと、全部歩いて楽しんでくださいというには無理がある

【カギは市電 無料化も?】

そこで木方教授が指摘するのが、鹿児島市内を走る市電の生かし方です。市電では、ことし3月からすべての車両にクレジットカードのタッチ決済が導入され、利便性が大きく向上しました。木方教授は、さらに踏み込んだ工夫を提案しています。 

木方教授

路面電車の使い方には世界の都市でいろいろな工夫がある。特に中心市街地の回遊性を確保したいところでは、無料区間にするようなことをやっている町もある。例えば、高見橋から金生町あたりとか、あるいは甲東中学校前あたり、つまり、中心市街地の縁辺にあたるところから内側を、期間限定でいいので無料にする。もうちょっと歩いてもらうために、モビリティ(流動性)をアシストするような工夫はあってもいい。

【取材後記】

木方教授の提案は大胆に聞こえますが、実際には、札幌市や岡山市の市電では「無料デー」を期間限定で設け、利用者が増えたという実績も残っています。いずれにしても、「回遊性」と高めるには、注目を浴びるような思い切った仕掛けも有効だといえます。

鹿児島市のポテンシャルを十分に生かした、歩行者目線に立ったまちづくりがどう進むのか、私も街を歩きながら注目したいと思います。

  • 金子晃久

    NHK鹿児島 記者

    金子晃久

    初任地の奈良局を経て 鹿児島局に赴任  現在は鹿児島市政キャップ 着任以来、天文館の“奥深さ”にハマっています!

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