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地元で好きなことを諦めない  サッカーで輝ける環境を!

  • 2023年01月03日

サッカーワールドカップで日本代表の活躍に湧いた2022年。女性が鹿児島で大好きなサッカーを続けられる社会人サッカーチームが誕生しました。チームを立ち上げ、支える女性の思いとは?

(報道カメラマン 桑原健史)

鹿児島の女子サッカーを盛り上げる

ミゴカリッサ鹿児島 松下みなみさん

鹿児島県初の社会人女子サッカーチーム「ミゴカリッサ鹿児島」
チームを支えるのは選手兼監督の松下みなみさん(26)ワールドカップの日本代表戦を全てテレビで観戦した松下さん。選手たちの活躍に大きな刺激を受けていました。

ミゴカリッサ鹿児島 選手兼監督  
松下みなみさん
ワールドカップのような熱気が女子サッカーにも欲しい。鹿児島には社会人だけの女子サッカーチームがなかったので、上を目指したチームを作ろうと思いチームを作りました

松下さんが率いるミゴカリッサ鹿児島が目指しているのは、女子サッカーリーグの頂点“WEリーグ”への参入です。

一度は諦めたサッカー選手の道

鹿児島市出身の松下さんは、兄の影響で小学校4年生でサッカーを始めました。6年生の時には所属していた少年サッカーチームで全国大会に出場。高校は、宮城県にある女子サッカーの強豪校に進学し、全国大会で準優勝。大学では4年生の時に日本一に輝きました。選手としてエリートの道を歩んできた松下さんでしたが、度重なるひざのけがに悩まされ、選手としての道を諦め地元に帰りました。
 

松下みなみさん
選手として親やお世話になった人に結果で恩返しというのは思っていた。今はプレーではなくて自分がサッカーに関わることで少しでも恩返しになればと思っている

大好きなサッカーを続けられる環境を作りたい

鹿児島に帰ってきた松下さんは、県内の高校で非常勤講師として働き始めました。そこで、男子サッカー部のコーチとして、再びサッカーに関わるようになりました。目標に向かって、必死にボールを追いかける生徒の姿を見て、サッカーへの情熱が再燃した松下さんでしたが、鹿児島では大人になってから女子サッカーを真剣に続けられる環境は整っていませんでした。

環境がないなら自分で作ればいいと考えた松下さんは、保育園などを運営する社会福祉法人の協力を得て2022年4月にチームを設立しました。そして、松下さんと同じように、サッカー選手としての道を一度は諦めた選手に声をかけました。

保育園で働く 平木場綾選手
鹿児島では社会人サッカーチームなんて女子ではないと思っていた。サッカーって楽しいなって思うのですごい感謝しています

大学生 三浦二千夏選手
ここがやっと自分がサッカーができる場所になった

チームには16人が所属していて2022年12月時点で鹿児島県の女子2部リーグで1位の成績です。まだ誕生したばかりのチームで、私が取材に訪れた日は練習に来た選手が6人でした。まだ満足に練習ができる人数は集まっていません。
それでも、高いレベルで選手を続けてきた松下さんの指導のもと、選手個人の技術を伸ばす練習や、同じ社会福祉法人の男子フットサルチームなどと合同で練習を行い、選手間の連携を高めることで勝利を重ねています。

チーム運営も手がけ陰で支える

松下さんはSNSでの広報活動やスポンサー集めなどチームの運営も手がけています。

これはサポーターさんに送るやつです

チーム責任者 古薗功詞郎さん
タオルが初めてのグッズです

松下さんが見せてくれたのは、チーム名とロゴマークがプリントされたピンク色を基調としたタオル。ミゴカリッサ鹿児島にとって、初めての応援グッズです。
サポーターは取材当時11人。

タオルには手書きのメッセージを添えて、応援してくれるサポーターの元へ届けました。

松下みなみさん
ゼロの状態のチームを応援してもらっているのがすごくうれしくて、感謝の気持ちしかないです

鹿児島から未来のなでしこを

子どもたちにサッカーの楽しさを伝えるのも松下さんの役割です。松下さんは、ミゴカリッサ鹿児島での活動を通して、将来鹿児島から世界に羽ばたく女子サッカー選手が出ることを期待しています。

ミゴカリッサ鹿児島 選手兼監督
松下みなみさん
将来、なでしこジャパンに選出されるような選手を鹿児島から出していければと思う。そして、女子選手でも好きなことを諦めない環境を作ったり、サッカーで上を目指す選手が出ててくるように少しでも力になれればいいなと思っています

取材を終えて

ミゴカリッサ鹿児島の選手は、働きながらチームに所属している人がほとんどです。雨が降りしきる中で、練習の様子を取材しましたが、グラウンドでボールを必死に追いかける選手の表情はキラキラと輝いていました。
チームの母体となる社会福祉法人は選手を正社員として、保育園や療育施設などで雇用し、引退後も選手が継続して働ける環境を整備していくということです。
ミゴカリッサ鹿児島、そして松下さんの挑戦をこれからも見守っていきたいと思います。

  • 桑原健史

    NHK鹿児島放送局 ニュースカメラマン

    桑原健史

    2018年入局 秋田局を経て
    2020年より鹿児島局
    潜水取材に挑戦中
    鹿児島をフィールドに走り回っています

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