鹿児島の漁業者が釣り上げ試食!深海の巨大生物ダイオウイカ
- 2022年12月01日

SNSに投稿されたひとつの動画。そこには、海面で腕をなびかせる「ダイオウイカ」の姿が映っていました。奄美群島の喜界島沖で撮影されたダイオウイカの姿に、専門家も「奄美周辺での映像はかなり珍しい」と評価。深海の巨大生物として知られるダイオウイカが、なぜ海面で撮影されたのでしょうか。撮影者が、当時の状況を語りました。
(NHK鹿児島放送局 柳沢直己)
ダイオウイカを釣り上げた
2022年11月8日、SNS上にひとつの動画が投稿されました。40秒ほどの長さで、ダイオウイカが漁船近くの海面で長い腕をなびかせている様子が映ってます。この動画は、投稿直後から話題を呼び、11月27日時点で再生回数は9万回にのぼっています。深海に生息する巨大生物として知られるダイオウイカが、なぜ海面近くで撮影されたのでしょうか。動画の撮影者に、話を聞くことができました。
撮影したのは喜界島の漁業者、米盛幸汰さん(28)です。2022年11月6日の午後4時ごろ、米盛さんは喜界島から東におよそ28キロの海上で、1人でソデイカ漁をしていました。異変を感じたのは、しかけを巻き上げていたときだったといいます。

しかけが上がってくるのがすごく遅かったので、魚かサメかと思いました。水深450メートルあたりにしかけを落としているところに引っかかってきて、上がってきた感じですね。見たかぎりでも2メートル以上あって、デカって思いました。
ダイオウイカの「バターしょうゆ焼き」
米盛さんの前に突如現れたダイオウイカ。あまりの重さで船まで引き上げることはできず、腕の一部を切り取って海に戻しました。切り取られた腕は、その後、米盛さんの友人が「バターしょうゆ焼き」にして食べたといいます。友人は味について「かめばかむほどしょっぱい」と話していたということです。

米盛さんは当時、ダイオウイカに遭遇した証拠として動画を撮影したということです。しかし、動画が注目された今、地元に貢献できたのではないかと考えています。

深海の生物はなかなか目にすることがないので、自分が撮った動画で奄美や喜界島のPRができたのなら、いいことができたのではないかと思います。
専門家が語った映像の価値
喜界島沖で撮影された、今回の映像。ダイオウイカに詳しい鹿児島大学の加藤早苗准教授によると、今回のようなケースは珍しいということです。


准教授
ダイオウイカは冬の日本海で、弱った状態で見られることが多いです。奄美周辺にもいますけれども、こうして映像に撮られるというのはかなり珍しいんじゃないかなと思います。
そのうえで、映像からは当時のダイオウイカの状態を読み取ることができるほか、人と自然の関係について考えるきっかけとなる、貴重な資料だとしています。

准教授
泳いで腕も動かしているので、弱まっているんだろうなとは思いますが、ひん死というほどではないです。また、イカは興奮すると、赤黒くなったり茶色になりますので、少し興奮しているというのが見て取れます。動画を通じて、多くの人がダイオウイカのことについて注目し、それとともに、海、自然、地球、そして人との関わりについて注目が集まれば、非常に意義深いと思います。