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世界的な水中写真家トニー・ウーさん 鹿児島の海に宝物!

  • 2022年10月03日

目の前に宝物がこんなにたくさんある。普通の生き物も魅力がある。その魅力をみんなに見てもらうために日本の海に潜っています」。こう話すのは世界的な水中写真家、トニー・ウーさんです。コロナ禍で海外での撮影ができない中、訪れた鹿児島で身近な海で繰り広げられる命の営みに魅了されました。トニー・ウーさんのいま伝えたい思いを聞きました。

(鹿児島局ニュースカメラマン 桑原健史)

【水中写真家トニー・ウーさん コロナ禍でもいまできることを】

神奈川県に住むアメリカ人の水中写真家、トニー・ウーさん。7月、シコロサンゴの産卵を撮影するために鹿児島を訪れていました。
トニー・ウーさんは、ロンドン自然史博物館が主催する権威ある写真コンクールで数々の賞を受賞しています。
しかし、新型コロナウイルスの影響でこの2年、海外で活動が出来ず、いまは、日本の海で撮影を行っています。 

トニー・ウーさん
海外で撮影できないことが残念だとか、出来ないと悩むよりも、積極的にいま出来ること、日本の海に潜って撮影することに集中しています。

撮影のテーマは命の輝き

生き物の求愛や産卵など命の輝きをテーマに、南さつま市や鹿児島湾などに潜って、3週間にわたり鹿児島で撮影を行いました。私は南さつま市笠沙町での撮影に同行しました。海に潜る前のトニー・ウーさんに話を聞くと笑顔を見せながらこう話してくれました。

毎日楽しみ。海に潜れる日はもちろん楽しみ。

この日狙ったのは、ゴカイの仲間イバラカンザシの繁殖行動です。イバラカンザシは、決して珍しい生き物ではありません。
身近な場所でそしてどこの海にもいる生き物が命をつむぐ瞬間に魅了されたトニー・ウーさん。コロナ禍で気付いたことでした。

身近な海の生き物の魅力を伝えたい

トニー・ウーさんが、鹿児島湾で捉えた、オオアカヒトデの放精の瞬間の写真を見せてくれました。生命力あふれるお気に入りの一枚です。

ダイビングガイドの松田康司さんは、トニー・ウーさんの海の生き物の知識や観察力に驚いたといいます。

ダイビングガイド 松田康司さん
海や生き物に寄り添う姿勢が素晴らしい。これどうかなって私がオオアカヒトデを指さした瞬間、トニーさんの反応から喜びが伝わってきて、これ絶対好きだなと分かった。

いま伝えたいこと

撮影を終えて、トニー・ウーさんに桜島が見える海沿いで鹿児島の人たちに伝えたい思いを聞いたところ、満面の笑顔を浮かべながらこう話してくれました。

鹿児島は自然の魅力がある。桜島のすぐそばの海で、ものすごくいい写真を撮っている。遠くに行かなくても週末や休みの時におもしろい経験は絶対できる。本当に目の前に宝物がたくさんある

取材を終えて

トニー・ウーさんは、オオアカヒトデの放精だけでなく、身近な鹿児島の海で魚の産卵シーンや卵を守る魚の様子など、さまざまな生き物の命の営みを撮影していました。また鹿児島を訪れ、海の生き物の求愛や産卵などの命のきらめく瞬間に立ち会い、撮影をしたいと話していました。私はトニー・ウーさんの撮影する姿や「目の前に宝物があるんだ」という言葉を聞き、いまの自分に出来ることをあらためて考えるきっかけになりました。私も負けずに鹿児島の海の魅力を伝えたいと思います。

  • 桑原健史

    NHK鹿児島放送局 ニュースカメラマン

    桑原健史

    2018年入局 秋田局を経て
    2020年より鹿児島局
    潜水取材に挑戦中
    鹿児島をフィールドに走り回っています

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