ページの本文へ

かごしまWEB特集

  1. NHK鹿児島
  2. かごしまWEB特集
  3. 命きらめく笠沙の海! シコロサンゴ、神秘の大産卵

命きらめく笠沙の海! シコロサンゴ、神秘の大産卵

  • 2022年09月26日

南さつま市笠沙町の大当港(おおと)周辺は、南から暖かな海流が流れ込み多様な生態系が育まれています。クマノミやミジンベニハゼなどの生き物も見られ、人気のダイビングスポットとなっています。港のすぐ近くの浅瀬に広がっているのが、日本最大級のシコロサンゴの大群生です。このシコロサンゴが一斉に産卵する瞬間の撮影に成功しました命がきらめく夏の笠沙の海は魅力にあふれていました。

(鹿児島局ニュースカメラマン 桑原健史)

シコロサンゴの大群生

シコロサンゴは、葉っぱのような形をした骨格が格子状に組み合わさり独特な形をしたサンゴです。
大当港のすぐそばの浅瀬に、縦およそ100メートル、横500メートルにわたって群生し、日本最大級の群生地と言われています。100年近くの年月をかけて、いくつものサンゴがつながりいまの姿になりました。

シコロサンゴの周りでは、チョウチョウウオやナガサキスズメダイ、ワカウツボなど、さまざまな生き物の姿が見られ、笠沙の豊かな海の生き物のよりどころとなっています。

笠沙の海を知る、ダイビングガイドの松田康司さん

ダイビングガイドの松田康司さん(36)は、鹿児島で生まれ育ち、笠沙の海を15年以上見続けています。全国から訪れるダイバーに身近な海の魅力を伝えてきました。

松田康司さん
「南からの海流の恵みで、この周辺の海は温帯と亜熱帯の種類の魚や生き物を見ることが出来ます。シコロサンゴというサンゴの大群生が広がっているというのが、一番の魅力です」。

シコロサンゴの産卵を偶然発見

5年前、松田さんはミジンベニハゼの卵がふ化する様子を撮影するため、夜明け前に海に潜っていたところ、偶然、シコロサンゴの産卵に出会いました。美しい光景を目の当たりにし、その魅力を伝えたいと、産卵がいつ行われるのか、潮の流れや天候などのデータを集めるなど、サンゴの観察を続けました。
そして、笠沙の海では、夏の大潮を過ぎた数日後の夜明け前の時間帯に、1年に4日ほど産卵が行われることが分かってきたそうです。

シコロサンゴの大産卵

私たちNHKの潜水取材班は、産卵の瞬間を撮影するため、ダイビングツアーに同行しました。夜明け前の午前4時ごろ、シコロサンゴの表面から沸き立つように白い煙のようなものが出てきました。

産卵の始まりです。海の中が真っ白になり目の前のサンゴも見えなくなるほどの大産卵でした。精子と卵が海の中を漂い、出会うことで、新たな命が生まれます。大産卵の神秘的な光景はおよそ1時間半続きました。
 

兵庫から訪れたツアー客
「思っていたよりも産卵は壮大でした。前が見えないくらい真っ白になって生命の神秘を感じました」。

神奈川から訪れたツアー客
「命が生まれる瞬間に立ち会える面白さと感動があって、すごくよかったです」。

夜明け前の笠沙の海で繰り広げられた、シコロサンゴの大産卵。夏の海で命がきらめく瞬間です。

豊かな海を見守り続ける

松田さんは幼い頃は、鹿児島県本土にサンゴが群生していることを知らなかったといいます。今後もこの豊かなサンゴ礁を見守っていきたいと力強く語ってくれました。

松田康司さん
「サンゴ礁はどこか遠い南の島々にあるいうイメージがありました。自分たちのすごく身近で足元の海にサンゴの群生が広がっているということを知ってもらいたいと思います。
これからも変わらない笠沙の海であってほしいなと思います。サンゴの豊かさや魚の多さや多様性が変わらないでほしい。これからも豊かな生態系を育む、笠沙の海を見守っていきたい」

取材を終えて

今回、夜明け前の笠沙の海に潜り、シコロサンゴの大産卵の瞬間を撮影することができました。産卵が始まり、20分ほど経つと、自分がどこにいるのかわからないくらい海の中が真っ白になり不思議な感覚に包まれました。
身近な海で豊かな生態系が育まれていることを強く実感しました。
海の中は季節によってさまざまな表情を見せてくれます。鹿児島は多くの離島もあり、豊かな海に囲まれています。海に携わる人々の姿や思い、そして鹿児島の海の魅力を伝えていきたいと思います。

  • 桑原健史

    NHK鹿児島放送局 ニュースカメラマン

    桑原健史

    2018年入局 秋田局を経て
    2020年より鹿児島局
    潜水取材に挑戦中
    鹿児島をフィールドに走り回っています

ページトップに戻る