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厄介者の放置竹林から肥料や飼料ができる!

ウクライナ情勢などで輸入飼料の価格が高騰するなか注目の取り組み
  • 2022年08月19日

日本一の竹林面積を持つ鹿児島県ですが、管理されなくなったいわゆる「放置竹林」が増加し、課題となっています。災害につながる危険性もあると指摘される放置竹林。
この厄介者の放置竹林を原料に農作物の肥料や家畜の飼料を作る工場がさつま町に完成しました。その背景を取材しました。

(鹿児島局記者 西崎奈央)

竹から肥料を作る工場オープン

テープカットの代わりに地元で伐採した竹を「竹カット」して、さつま町でオープンしたのは、竹や笹を農作物の肥料や家畜の飼料に変える工場です。

運営するのは、この事業を6年前、全国で初めて確立した宮崎県の会社で、鹿児島に工場ができるのは初めてです。開所式でさつま町の上野俊市町長は「竹林の多い北薩地域周辺の放置竹林を減少させるとともに町の雇用促進にもつながる」と強い期待感を示しました。

固い竹や笹の葉はこれまで資源化が困難とされてきましたが、この会社では竹を粉砕し、乳酸菌などを加えて40日間発酵させることで、肥料や飼料にすることに成功しました。

放置竹林に解決策

工場が出来た背景にあるのが「放置竹林」の問題です。鹿児島県の竹林の面積は、日本一の1万6千平方メートルですが、その多くが、地権者の高齢化などにより適切な管理が難しくなっています。

竹は浅くしか根をはらないため、放置しておくと、地滑りなどの災害リスクを高めてしまう恐れがあるのです。実際に鹿児島県内では3年前、竹やぶの斜面が崩れ、高速道路をふさいでしまうなどの災害が起きています。

ところが伐採するとなると、100坪でおよそ80万円ほど費用が必要で、地権者に大きな負担となるため、これまで対策は思うように進んでいませんでした。

 そこで、この会社では地元の竹林所有者から伐採作業も無償で引き受けることで、原材料の竹や笹を無料で仕入れるという、いわばWINーWINの関係を築くことにしました。

「大和フロンティア」田中 浩一郎 代表取締役
「農家さんへ安く供給できて、そこで大量消費される、これが循環してずっとまわっていく事業になったときには、大変強みが出てくる」

利用した農家では

ウクライナ情勢などの影響を受けて、輸入される家畜の飼料や、農作物の肥料の値段が高騰するなか、地産地消の新たな資源になると農家などからの注目も集まっています。

さつま町のいちご農家の西囿義治さんは、笹から作られた肥料に含まれる繊維や乳酸菌により、土壌の改善に効果があると期待を寄せています。4月から試験的に肥料を使い始めていますが、効果を感じていると言います。

 いちご農家 西囿義治さん
「肥料だけだと軟弱に育つ感じですが、実が入った感じがして、普通の堆肥より費用対効果は良いかもしれない。去年は水害で植えることはできなかったので、今年こそはと思っているので、これを使って良い結果が出ればと思っています」

取材を終えて

「放置竹林」を減らし、割安な肥料も作ることができるという、まさに一石二鳥の取り組みと感じましたが、竹を原料にした肥料には、このほかにも「サツマイモ基腐病」を抑制する効果もあると聞きました。
この会社では県と合同で実証実験を行っているほか、南大隅町ではすでに実証の結果が得られたとして今年度から補助事業を行っているということです。
厄介者の「放置竹林」から生まれた肥料が、多くの生産者を悩ませる厄介な「サツマイモ基腐病」対策の救世主となるのかどうか。今後の結果に期待して、取材を続けたいと思います。

 

  • 西崎奈央

    NHK鹿児島放送局 記者

    西崎奈央

    2019年入局。警察担当・薩摩川内支局を経て県政担当。調査報道や国際問題などを担当

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