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鹿児島「再び和牛日本一」に 和牛オリンピックへの秘策は

  • 2022年05月09日

5年に1度開かれる「全国和牛能力共進会」こと「和牛オリンピック」。前回、総合優勝の鹿児島県は地元開催となる今回も「日本一」の座を守ることができるのか。
決め手となるのは肉質だけではないんです。
大会に向けた秘策に迫りました。

(鹿児島局記者 猪俣康太郎)

再び日本一へ高まる士気

4月30日、鹿児島市では「和牛オリンピック」に向けて決起大会が開かれました。塩田知事をはじめ、農協の関係者、それに国会議員などおよそ120人が参加しました。

和牛五輪へ決起集会 鹿児島 4月

全共県推進協議会名誉会長 
鹿児島県 塩田知事

「和牛日本一獲得は、農林水産業の『稼ぐ力』のさらなる向上に大きく寄与すると考えている。必ず『和牛日本一』を獲得すべく全力で取り組んでいく」

5年に1度開かれる「和牛オリンピック」、正式には「全国和牛能力共進会」と言いますが、その結果は産地のブランド力に大きな影響を与えると言われています。

前回大会 宮城 平成29年

前回5年前の大会で鹿児島県は9部門のうち4部門を制し、総合優勝を達成しています。県庁の出入り口には「日本一」をPRする巨大なパネルも設置されました。

県庁出入り口の巨大パネル

今回の大会に向けて、すでに県内トップレベルの農家の元では出場する”候補牛”の育生が行われています。地元で開催されるだけに、関係者の士気も高まっています。

前回大会で農林水産大臣賞 
薬師成人さん

「地元鹿児島での開催でもあり、
絶対に負けられない大会であります」


日本一へ 秘策は牛の見せ方

ただ、日本一の決め手となるのは牛の肉質だけではありません。

肉質を評価する「肉牛の部」に加えて牛の姿・形の体型の良さなどを審査する「種牛の部」が(しゅぎゅう)あります。

審査員の前で牛を姿勢よく立たせ、美しく見せられるかも重要となってくるのです。

その対策として招へいされたのは「牛の碁盤乗り」で知られる岡山県の牛の調教技術の専門家です。
岡山では中国山地の険しい山道を歩かせるため、綱1本で牛をあやつる技術が江戸時代から伝わってきました。

画像提供 県肉用牛振興協議会

その第一人者である宮本弘さんを鹿児島に招いて、去年12月に講習会を実施。宮本さんは総合優勝を果たした前回大会の際にも講師を務めています。


高校生にも技術を伝授

そして4月末には、宮本さんから指導を受けた農協の担当者が講師となって、高校生を対象に研修会も開かれました。今回から「高校及び農業大学校の部」が新たに設けられたためです。

高校生を対象にした研修会 鹿児島 鹿屋 4月

牛に思うように動いてもらうには綱の動かし方や、呼吸の合わせ方が重要となってきます。
 

参加した生徒

「毎日練習して少しずつ技術をあげていって自分たちの育ててきた牛を大会で見せたいです」

参加した生徒

「牛とコミュニケーションをとってやっていきたいです」

 出品牛の責任者 全共県推進協議会 
 坂元信一推進委員長

「地元開催ということで、関係者だけでなく、いろんな方の期待も大きいと思う。コロナの状況があって、なかなか思うように進んでいないのが実情だが、鹿児島だけではないと思うので、前回以上に努力をしないといけない」

和牛日本一の座、死守へ。肉質だけでなく「秘策」の牛の見せ方も極めて大会へと臨みます。

取材後記

どのような牛を育てるかだけでなく、どう見せるかも重要だという今回の取材。総合優勝した前回は開催地の宮城県への移動ルートも検討し、渋滞が少なく、牛にストレスを与えない北陸側を通るルートを選択したということです。
あらゆる手を尽くしている関係者の姿を見て、「和牛オリンピック」で好成績をとることのインパクトの大きさを改めて感じました。
10月の本番に向けて、これからも県内の畜産業について取材していきたいと思います。

  • 猪俣康太郎

    NHK鹿児島放送局

    猪俣康太郎

    2004年入局
    前橋局・函館局を経て
    ニュース7・おはよう日本
    ニュースウオッチ9で勤務
    現在は遊軍キャップ

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