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鹿児島県の人は年収が低いの? 街頭で30人に聞いて分かったのは

  • 2022年04月28日

 

NHKが全国で行っている「年収30人インタビュー」。今回は鹿児島県で行いました。全国家計構造調査によると、1世帯あたりの年収は558万円。これに対して、トップの東京は629万円で、九州最高は佐賀県で549万円。鹿児島県は47都道府県中46位で432万円となっています。ただ、実際に伺ってみると、この金額だけではわからないものが見えてきました。

(鹿児島局記者 高橋太一)

鹿児島年収への受け止めは…

取材は、鹿児島中央駅の周辺で行いました。まずは、お聞きしたインタビューの一部を紹介します。

(年収300万円台・団体職員60代)
「うち少ないんですが、自分がやりたい仕事をやっているので満足感、充実感があります」

(年収600万円台・公務員30代)
「妥当か、もうちょっと上がってくれるとうれしい。毎年昇給しているので上がっている実感はある」

(年収100万円台・飲食業30代)
「コロナでお客さんもいないし、給料は減りました。今度給付金が入るのであてにしている」

(年収300万円台・製造業事務20代)
「コロナで業績はかなりマイナスになってしまいました。あまり残業しないでくれと言われて、残業代が占めていたのでその分、給料が減ってしまった」

(年収800万円台・保険会社営業60代)
「この春で定年退職しようと思っています。第二の人生として、福祉関係の相談業務をやろうと思っています」

離島、噴火…鹿児島県ならではの出費も

鹿児島県の人口は全国24位となるおよそ160万。鹿児島市のような都市がある一方、
大小およそ600ほどの島もあります。離島ならではの出費の特徴を挙げた人もいました。

(喜界島在住・年収100万円台・JA臨時職員50代)
「病院への通院、子どもの遠征に結構お金がかかります。船で荷物が来るので、物価は高いです」

(沖永良部島在住・年収400万円台・病院勤務30代)
「車でしか移動しないので、ガソリン代が毎月1万円を超えます。ただ、島内はやっぱり知り合いばっかりなので、助け合って生活しているという感じがします」

さらに、鹿児島といえばという、こちらの出費をあげた人も。

(年収300万円台・会社員(人材コンサル)20代)
「車の洗車にお金がかかります。桜島の灰がすごいので、1週間に1回洗車しても、また次の日降ることもあります。県外と比べても1番お金がかかるのでは」

多かった“収入見合っている”という声

取材を進めるなかで印象的だったのが、「今の収入が自分の働きに見合っている」という声が多いことでした。

(年収700万円台・公務員50代)
「だいたい見合っていると思います。毎年少しずつ昇給しているので」

(年収600万円台・販売(コンピューター系)50代)
「働きに収入が見合っていると思います。住みやすいですし、物価もそこまで高いわけじゃない」

その理由は何なのか。さらに聞くと、そのひとつとして挙げられたのが家賃です。

(年収200万円台・電話オペレーター20代)
「相場よりは安いと思いますし、県外にいる友達と家賃の話をしたことがありますが比べてもだいぶ安いと思う」

(年収200万円台・アパレル販売20代)
「1K6畳で3万円くらいで、水道代込みです」

(年収200万円台・美容師20代)
「家賃もそんなに高くないですし、生活にそんなに困ることはないと思う」

家賃の平均は全国で最も安い3万7000円余り。今回聞いた30人のうち、3分の1の人たちが、賃貸住宅に住んでいると答えました。

鹿児島でのインタビュー結果を全体で見てみると、年収が100万円~400万円台の人が7割。一方、「今の収入が自分の働きに見合っているか」という質問への答えでは、「見合っている」と答えたのは30人のうち、21人です。

しかし、同じ質問を東京で行った結果、「見合っている」と答えたのは12人でした。また鹿児島では、100万円~300万円台で「見合っている」と答えた人が多くなりました。「暮らしの満足感は、必ずしも収入の額だけで決まるものではないのかもしれない」、そんなことが伺える結果となりました。

鹿児島の特徴は…専門家に聞きました

その背景には何があるのか。鹿児島の経済に詳しい、九州経済研究所の福留一郎さんは、
「鹿児島の年収の低さは、農業や畜産業などの1次産業と観光業や介護などの3次産業の比率が高いことが背景にある。交通インフラが整うなどほどよい都市機能がありつつ、人と人とのつながりが保たれているので、年収が高くなくても、暮らしは豊かだと実感できているのではないか」と指摘しています。

また、家賃との関連については、「新築住宅の供給が増えている影響で既存の物件の家賃が押し下げられ、幅広い価格帯の物件が探しやすくなっていることも、住みやすさの一因となっている可能性がある」としています。

とはいえ、年収は上がって欲しい。そう思っている人は多いと思います。今後、年収を上げていくにはどういったことが必要なのでしょうか。

福留さんは、「今後は奄美大島と徳之島が世界自然遺産に登録されたことを契機に、アフターコロナを見据え、観光業をはじめとした第3次産業を底上げしていくことが鹿児島の経済発展の今後のポイントになる」と指摘しています。

鹿児島にしかない魅力を発見してさらに産業を発展させることと、インタビューの中にもあった「年収だけでは測れない住みやすさ」の両方を大切にしていくことで、鹿児島県は多くの人にとって、さらに住みよい県になっていくのではないかと思います。

  • 高橋太一

    NHK鹿児島放送局 記者

    高橋太一

    2017年入局。奄美支局を経て現在は安全保障や県政を担当。これまでに県内18の島を取材。離島からは地方の課題と解決のヒントが見えてきます。

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