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7月の兼題
「アイデア」

  • なんとん 葉っぱをぜんに ゆい小才こだ

    鹿児島市 / 南谷 久瓜 さん

    ,何|なん,とん,無|ね, 葉っぱを,金|ぜん,に ,換|か,ゆい,小才|こだ, 鹿児島市 南谷 久瓜

    (なんでもない葉っぱを、ひらめきはビジネスにした という意味)

    寿星 :この句は着眼点がお見事でした。料理の「つま」に使われる葉っぱビジネスを詠んでおります。木の葉がお金になるのですね。

    キャスター:もみじやナンテンなどがあると聞きます。

    寿星 :徳島県の山間やまあいの町でこのビジネスが行われているようですがそこまで調べたかという驚きでした。どうしたら人と違った句になるかということを常に考えていることが伝わってきます。

    キャスター:「小才こだ」とはどんな意味なのですか?

    寿星 :字のとおりの小才こさいで、「ちょっとした才覚・知恵」ということです。「小才こだっ」と、さつま狂句にもよく登場します。


    なんとん 葉っぱをぜんに ゆい小才こだ


    <唱> 視察しさっせえ はいめっみれば

    (視察に行って自分で始めてみたらどうですか という意味)


    桜島の灰・木の葉、なんでもお金になりますね、アイデアですね。

  • アイデアが ぐるぐるえた めん

    鹿児島市 / たいら 祐治 さん

    アイデアが ぐるぐる,回|ま,えた ,冷|ひ,や,素|ぞ,,麺|めん, 鹿児島市 たいら 祐治

    (それまでは竹の樋などで流していたそうめん流しを、アイデアを重ねて回転式に変えた という意味)

    寿星 :美味しくて楽しいそうめん流しで観光客の皆さんも喜んでいるのではないでしょうか。そこに目を付けた作者の素材探しがお見事でした。

    キャスター:鹿児島で発明されたと聞いたことがあります。

    寿星 :指宿の開聞町長を務められた方のアイデアで唐船峡に作られたのが始まりのようです。「アイデアが」との上5の擬人法の出だしも決まりました。


    アイデアが ぐるぐるえた めん


    <唱> エジソンなんの 発明じゃした

    (エジソン並の発明でしたが という意味)


    ひと夏に1回は行きたいものです。

  • 子育てん ちアイデへ ゆいじゅ

    姶良市 / 坂井 弘 さん

    子育てん ,手|て,,厚|あ,ちアイデへ ,増|ふ,ゆい,移|い,,住|じゅ, 姶良市 坂井 弘

    (子育てへの手厚い支援のアイデアで、移住が増えている という意味)

    キャスター:この句を天に選んだのはどんなところが良かったのですか。

    寿星 :少子化対策がいろいろ言われている中で、全国の自治体ではいろんな子育て支援のアイデアで移住をアピールしているようです。そこに目を付けたところです。現実問題にぴったりの句でした。似たような移住促進の句がたくさん寄せられましたが、「子育て」との具体的表現が決まりました。句の素材をじっくり検討されたことが伝わってきました。

    キャスター:難しい鹿児島弁もなく確かに分かりやすいですね。「アイデアで」という意味あいを「アイデへ」ともいうのですか。

    寿星 :「アイデアへ」を短縮した言い方です。このような言い回しで、定型に収めることができるわけです。


    子育てん ちアイデへ ゆいじゅ


    <唱> にっぎゃけ声で ちゃかっ

    (にぎやかな声が響いて町が活気にあふれている という意味)


    子どもが多い町は確かに元気です。

今月のポイント「アルファベット文字を安易に使わない」

ネットで調べなければ分からないようなアルファベット文字、例えば今回はJKなどが見られました。これは外来語でも同じです。さつま狂句にはなじみませんので、今回の兼題の「アイデア」のように一般に浸透してからにしましょう。