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2月の兼題
「塩辛(しおは)れ」

  • 減塩の 最中さな故郷さとから もん

    日置市 / 宮田 隆翔 さん

    減塩の ,最中|さな,け,故郷|さと,から ,凄|わ,ぜ,干|ひ,,物|もん, 日置市 宮田 隆翔

    (減塩中のところに故郷からたくさんの干物が送られてきた という意味)

    寿星 :鹿児島では目刺をガランツと言いますが、送られてきたのはそれではないでしょうか。貰った方が「うぅうん」と苦笑いをしている様子まで想像されます。以前発表された句に「目刺がらんつ甘藷かいもそだっ今は社長しゃちょ」(目刺とからいもで育ったが今では社長だ)いうのがありました。カライモしか食べるものがなかった時代に、その頃たくさん取れたイワシの塩辛い干物を添えて食べていたのです。組み合わせはばっちりでした。昔のことをいろいろ思いださせてくれました。


    減塩の 最中さな故郷さとから もん


    <唱> 貴男おはんじゃかど 家族宛けねあてじゃっど

    (あなた以外の家族の好物ですから送ったのですよ という意味)


    しかしお礼の電話ではとても美味しかったと言いましょう。

  • しょくリポあ しお料理りょうり 目がおよ

    鹿児島市 / かねしげ さん

    ,食|しょく,リポあ ,塩|しお,,辛|は,れ,料理|りょう,り 目が,泳|およ,っ 鹿児島市 かねしげ

    (塩辛いのか食リポの目が泳いでいる という意味)

    寿星 :食リポとはテレビなどでレポーターが料理をその場で食べて味などの感想を言うことです。すっかり定着した言葉です。そこに目を付けた素材選びが新鮮でした。そのうえで、しもの句でアッと言わせて、下5が大事なことを教えてくれました。

    キャスター:その場の情景が目に浮かぶようですね。

    寿星 :言葉を吟味したことが伝わります。


    しょくリポあ しお料理りょうり 目がおよ


    <唱> しかめつらどま 見せあならんど

    (失礼にならないよう、しかめっ面は見せられない という意味)


    もぐもぐしながら、褒めるところを一生懸命探しているのでしょう。

  • しおれち かくせ ろっ

    薩摩川内市 / 藤﨑 前天 さん

    ,塩|しお,,辛|は,れち ,小|ぐ,,言|ぜ,ん,多|う,かくせ ,沢|ず,,山|し,,食|く,ろっ 薩摩川内市 藤﨑 前天

    (塩辛いと文句を言いながらたくさん食べた という意味)

    キャスター:この句を天に選んだのはどこが良かったのですか。

    寿星 :句のリズムが良くて、下5を小さな「っ」で締めたことで句の座りがよくなりました。それに意味が分かりやすいこと、笑いがあることです。 薩摩狂句だからこその鹿児島らしさ満載です。

    キャスター:確かに字を見れば分かりやすいですね。

    寿星 :いろいろこねくり回さずにすかっと述べたところが良かったと思います。


    しおれち かくせ ろっ


    <唱> ひだりもひだり かったとじゃろで

    (おなかが減ってたまらなかったのでしょう という意味)


    作者の反省の弁かもしれません。

今月のポイント「読み手の想像力を刺激しよう」

投句の中にはこれでもかこれでもかと、言いたいことをびっしり詰め込んだ説明だけの句が見られます。「言わぬは言うに勝る」という言葉があります。自分の言いたいことはぐっと我慢して後は読み手の想像力に任せましょう。